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生成AIはマーケティングにどう使える? 博報堂DYグループが考える3つの事例クリエイティブにAIを込めて(2/2 ページ)

» 2025年01月07日 12時00分 公開
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 この取り組みもAIによる人間の創造性やスキルの拡張を目指したもので“AI with人間”をイメージしています。自分の趣味や思いをChatGPTに読み込ませると、普段自分の力では作ることのできないリリックを簡単に生成。自分が考えもしなかった思いを伝える方法や、自分の強みや個性自体に気付ける効果を確認できています。

「AIラッパープロジェクト」

 この技術を応用した社会実装実験として「AIラップ名刺」の企画を行いました。名刺交換のシーンは堅苦しい場であり、自分の個性やパーソナリティーを紹介することは難しい場合が多いです。そこで、AIの力を借りてラップで自己紹介できるようになると新しい名刺交換の場になるのではないか? という発想から生み出された企画です。

 この企画では、スマートフォンにプロフィールと趣味を入れるだけで、AIがリリックを約1分で作成します。さらに自分の写真を入れると、リップシンクの技術で自己紹介ラップを歌いだします。この社会実装実験を、4月の博報堂の入社式で行いました。博報堂の社長のAIラップを披露したところ、約90%の方から「親近感を感じた」「意外な一面を知ることができました」との回答を得られました。

約90%が「親近感を感じた」「意外な一面を知ることができました」と回答

 AIラップ名刺のプロジェクトは、今までの自己紹介の在り方を再定義する可能性を考えるきっかけを提供できたと感じています。今までは写真と経歴をベースに自分のプロフィールをパワーポイントで説明することが定石でした。AIの力を借りることで、自分では思いもよらない表現方法や説明の仕方で自分の個性や人柄をプレゼンテーションできるようになり、自己紹介自体が新たな体験に変わっていく可能性があります。

博報堂DYグループが”バーチャルヒューマン”の開発に取り組むワケ

 さらに、タレントと協働で制作した「バーチャルタレント」などの、AIエージェントとして機能するバーチャルヒューマン開発にも取り組んでいます。企業のオウンドメディアやSNSにバーチャルヒューマンが登場して、自然な振る舞いを見せたり、ユーザーのデータと連携したりすることで、ユーザーの趣味嗜好を理解し潜在的な欲求をバーチャルヒューマンに理解させることが可能になっていく──そんな未来がくると考えています。

 YouTubeやTikTokなどでは、ストリーミングライブが行われていますが、バーチャルヒューマンを用いたライブをメタバース空間に広げていくことも構想しており、実証実験先を探している段階です。AIを活用しながら、商品やサービスのブランドや世界観をストーリーテリングする没入感のある体験を提供し、より好きになってもらうきっかけにつながるのではと考えています。

 博報堂DYグループでは、AIをはじめとするテクノロジーは、広告クリエイティブの未来を大きく変えると考えています。実際、AIを活用した一部の制作物では、クリックやコンバージョン最適化など、即時的な効果の向上に既に貢献しています。

 しかし、商品やサービスへの愛着、ブランドの世界観浸透に、バーチャルヒューマンを用いたエンゲージメント向上にAIを用いることはまだまだ事例が少ないのが実情です。CREATIVITY ENGAGEMENT BLOOMでは、バーチャルヒューマンによる人間らしい対話を実現して、顧客のインサイトを引き出したり、ブランドストーリーを感情的に伝えるなど、先進的な取り組みを今後も進めていきます。

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