仮にイベントなどに登壇する著名人、有識者などについての調査でも同じ結果が得られるとすれば、deep researchはネット上での“素行調査”“実績調査”にも使われていくかもしれない。本人から共有されたプロフィールがどこまで確からしく、これから自社がやろうとしている取り組みにどれだけマッチするかといった一次調査であれば、ある程度役立つだろう。
転じて、採用時に人材の実績を見極める手段にもなるかもしれない。「自分はこれこれこういう実績を残したんです! ネットでも話題になりました!」などと主張する人がいれば、deep researchでサクッと調べてもらえばいい。AIも同じことを言っているならば参考にできるし、それらしい情報がないなら、面接のときに「これってどういうことですかね?」と聞くことになりそうだ。
面接を受ける側も、取り組みについてネットに残しておいて、AIが拾いやすくしておいたり、メディアなどからの客観的な好評を増やしたり、AIによる調査を見越した打ち返しを用意したりと、何らかの対策を考える必要があるかもしれない。逆に、望ましくない情報をAIが拾えないようにする手段も注目を浴びそうだ。
一連の事象は「インターネットで検索して探す」という行為を通して、これまでにも発生し得ることではあった。deep researchによって変わるのは、その効率が上がる点だ。採用・アサイン担当者はより高効率に相手の情報を探れるようになり、結果としてその目も厳しくなるかもしれない。
となると、確かな実績を積むのはもちろんとして、AIの評価をコントロールする取り組みの需要も高まりそうだ。すでにSNSなどでも取り沙汰されているが、SEOならぬ“AIO”的な概念も広がるかもしれない。ChatGPTやAI検索サービス「Perplexity AI」登場時から予測されていた可能性ではあるが、個人的にはdeep researchでその近づきをさらに感じられた。
OpenAIは、今でこそChatGPT Proプランの契約者のみにdeep researchを提供しているが、今後は「Plus」「Team」プランでも提供する予定という。つまりは、あなたに関するそれなりに確からしい情報を、数十分で調べられるAIが、多くの人の手に渡る時代が近づいてきているかもしれないわけだ。少なくとも筆者は、AIのアウトプットを見て、SNS含むネット上での発信をいま一度省みなければ、と感じた。
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