マネーフォワード、AIエージェント事業参入へ DXならぬ「AX」支援

[吉川大貴，ITmedia]

　マネーフォワードの辻庸介代表取締役社長は4月2日、法人向けAIエージェント事業に参入すると発表した。同社のサービスを使った経費精算や、会計業務、人事関連業務を自動化するエージェントを開発し、2025年中に順次リリースするという。

マネーフォワードの辻庸介代表取締役社長

　経費精算用のエージェントはマネーフォワードの法人クレジットカードや経費精算サービスとの併用を想定。ユーザーは領収書を添付すれば、あとはAIと対話するだけで、AIがカードの利用情報などを基に経費科目の選択や承認先を自動で設定してくれるようなサービスを提供するという。

　会計業務用のエージェントについては、経費精算サービスの登録情報などから、承認が済んでいない申請などを検知し、経理の確認をへて対象者にリマインドする機能などの提供を見込む。

　人事関連業務用のエージェントは、育休取得率などのデータを社内データベースから検索し、レポートとしてまとめる機能などの提供を想定する。

　3つのエージェントはいずれも中堅・中小企業への提供を見込むが、今後会計事務所向けエージェントの開発も検討するという。

　各エージェントとユーザーの接点となるプラットフォームも開発する予定。同プラットフォームでは他社のエージェントも利用可能にする方針だ。辻社長はサービスのイメージを「スマートフォン向けのアプリストアのようなもの」と例えた。

　AIを活用したバックオフィス業務改善のコンサルティング事業「AXコンサルティング」を開始することも発表した。顧客が抱える課題を洗い出しや、SaaSやAIエージェントの選定を支援し「DX」（デジタルトランスフォーメーション）ならぬ「AX」（AIトランスフォーメーション）を推進するという。

　辻社長は個人事業主など向けのエージェントについても意欲を見せた。記者による「AIが確定申告をやってくれる未来はくるのか」といった旨の質問に対し「相性はすごく良いと思っている。そういうものを自分たちで作りたいなといろいろと企画している」と答えた。