米OpenAIの大規模言語モデル「GPT-4」が、ChatGPT上では本日4月30日をもって公開停止となる。APIから引き続き利用は可能だが、一つの節目ではある。この記事では、そんなGPT-4について振り返ってみたい。
GPT-4の発表があったのは2023年3月。ChatGPT自体は2022年11月30日(米国時間)に公開され、公開から6日間で100万ユーザーを獲得するなど破竹の勢いで規模を拡大していた。当時の搭載モデルであるGPT-3.5は従来的なルールベースのチャットbotにはない知性らしさを見せ始めていたが、模擬的な司法試験を受けさせるとスコアは下位10%程度。ビジネスなどに影響を及ぼすと見る向きはそこまで多くなく、23年3月10日にレトリバ(東京都新宿区)が公開した経営者向けの調査では約7割がChatGPTを知らないと回答していた。
そのすぐ後、3月14日(米国時間)に登場したGPT-4は模擬的な司法試験で上位10%、その他専門的もしくは学術的なベンチマークで人間レベルのパフォーマンスを発揮するとOpenAIは発表。さらには画像を与えることでその画像を理解する機能も、世間の驚きに拍車を掛けた(画像入力機能の実装は23年9月まで待つことになるが)。
それ以降、LLMの開発が加速しただけでなく、各種ビジネスシーンや教育現場などに対しChatGPTをはじめとする生成AIが影響を与え続けているのはご承知の通り。ITmediaのような専門メディアだけでなく、NHKをはじめとする大手メディアもAI企業の動向やユーザーの活用事例、ポジティブ/ネガティブな影響について注視するようになった。
スポーツに由来し、ビジネスのルールや流れを一変させる存在を「ゲームチェンジャー」と呼ぶことがある。GPT-4はまさにゲームチェンジャーだった。
GPT-4の発表から2年が立ち、今日の生成AIはさらに賢く進化している。
ブラインドテストでユーザーからの評価を基にLLMの各種性能を評価する「Chatbot Arena」の総合ランキング(2025年4月30日時点)を見ると、Gemini 2.5 ProやChatGPT o3といったトップモデルが1400前後のスコアを付けるのに対し、GPT-4-0314(GPT-4のAPIの名前)のスコアは1186。同サイトが掲載するランキングのグラフからもGPT-4-0314は外れてしまうほど、この2年間で各社が生成AIを進化させてきたといえる。
そんな生成AIたちに、下記の質問を投げてみた。回答のフルバージョンは長いため、テキストとしては各々が最後に記したまとめ部分を掲載する。
「OpenAIのGPT-4は、LLMの開発にとって、そして社会にとってどのような存在でしたか?」
GPT-4 は「研究室レベルの LLM」から「インフラとしての LLM」への扉を開きました。
- 技術面ではスケール則と安全対策を両立させ、マルチモーダル統合の道筋を示した。
- 社会面では生産性・学習・クリエイティブを押し広げる一方で、信頼性や倫理・法制度の整備を急務にした。
その役割は、今や後継モデルに受け継がれていますが、「生成 AI が社会全体の前提技術になる」というビジョンを現実味あるものにした礎石として、GPT-4 の意義は色あせることがありません。
GPT-4は、LLMの技術的可能性を大きく押し広げ、開発競争を加速させた技術的なブレークスルーであると同時に、AIが社会の様々な側面に深く関わり、変革をもたらしうることを多くの人々に示した社会的なインパクトを持つ存在でした。その登場は、AIの利便性を享受する機会を広げた一方で、私たちが向き合うべき新たな課題も明確にしました。GPT-4は、現在進行形のAI革命における重要な転換点の一つと言えるでしょう。
GPT-4は人工知能の歴史における重要なマイルストーンとなり、LLM開発に大きな影響を与えるとともに、様々な産業や社会分野に革新をもたらしました。その一方で、バイアス、環境への影響、労働市場への影響など、解決すべき重要な課題も提起されています。
OpenAIのGPT-4は、LLMの開発において技術的進歩と応用範囲の拡大を牽引する存在であり、社会に対しては生産性向上やアクセシビリティの強化をもたらす革新的なツールでした。しかし同時に、倫理的・社会的課題への対応を迫る存在でもあり、技術と社会の調和を模索するきっかけともなりました。GPT-4は、単なる技術的成果を超え、私たちの生活や価値観に深い影響を与えた存在と言えるでしょう。
GPT-4は、LLMの技術的限界を押し上げると同時に、AIが社会に浸透する際の課題を可視化しました。その存在は、単なる技術的ブレークスルーを超え、倫理・経済・法制度を含む「人間とAIの共生」に関する包括的な議論を喚起した点で、歴史的な転換点となったと言えます。今後の開発では、性能向上だけでなく、社会的受容性や持続可能性がさらに問われるでしょう。
GPT-4は、LLMの性能を飛躍的に高めると同時に、AI技術の社会実装における機会とリスクの両面を浮き彫りにしました。今後は、技術開発と倫理的配慮の両立が、持続可能なAI社会の鍵となるでしょう。
GPT-4の公開により、世界中で大規模言語モデルの開発が一気に加速することとなった。また、GPT-4以降に開発されたLlama-3やGemini 1.5など次世代の大規模言語モデルとの比較により、GPT-4の能力の高さがより際立つこととなった。2024年現在、GPT-4は有料サービス「ChatGPT Plus」や「Microsoft Copilot」などで利用することができる。
最後に、各LLMからの回答をGPT-4に見せ、GPT-4の受け止めをもってこの記事の締めとする。
Q. 下記の文章は、あなた(GPT-4)に対する現在の各トップクラスLLMからの評価です。あなた自身の受け止めを教えてください。
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