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AIを活用した授業とは? 全都立学校にAI導入、先行事例を紹介 AIで“架空の歴史”作る授業も(1/2 ページ)

» 2025年05月23日 07時00分 公開
[島田拓ITmedia]

 全都立学校に生成AIを導入する――東京都が5月12日に発表した取り組みが注目を集めている。256校、約14万人の児童・生徒がAIを利用できる環境を整備。授業や探求学習などでAIを活用するという。

 これに対し、Xでは「先進的で良い」「子どもにAIの問題点を教えるのも大切」など肯定的な声が相次いだ。一方で「自分で考える力が育たないのでは」「問題のある使い方につながる可能性も」など、懸念を示すユーザーも見られた。

 では、実際にAIを活用した授業とは、どのようなものなのか。都は、今回の取り組みに先行してAIを導入した「生成AI研究校」を2023年度に9校、24年度に20校指定。授業におけるAIの効果的な活用法などを検証し、その事例を資料化して公式サイトで公開している。本記事では、なかでも記者がユニークと感じた3つの事例を紹介する。

AIを先行導入した日野高等学校の授業の様子(画像は都が公開した事例動画より引用、以下同)

人間 vs.生成AI、数学の問題を解く速度を検証

 日野高等学校では、1年生の教科「数学I」の授業で、生成AIを取り入れる検証を行った。数学の問題を自力で解く生徒と、生成AIなどを活用して解く生徒に分かれ、解答速度などの違いを確かめたという。

 授業ではまず、生徒1人が1台ずつPCを操作し、都が運営する情報教育サイト「とうきょうの情報教育」にアクセス。SNSの利用やデジタルリテラシーの要点を確認し、Web検索やAIの使い分けをクイズ形式で学んだ。

Web検索やAIの使い分けをクイズ形式で学習

 次にクラスを10班に分け、数学の問題を自力で解くグループと、生成AIやWeb検索などを駆使して問題を解くグループを作成。数学の大学入試の過去問題5問を、2グループの各班が解き、問題を解く速度や正確性の違いを確かめたという。

数学の問題を自力で解くグループ
生成AIやWeb検索などを駆使して問題を解くグループ

 生じた差について資料では公開していない一方、授業では、検索結果や生成AIが出した回答が必ずしも正しくないことを学習。生徒の評価では「情報活用能力が身に付いているかどうか、資料を活用して誤った情報に惑わされずに答案を作成できているか、正答まで粘り強く取り組んだか」を基準にしたという。

 同授業の内容は、YouTube動画としても公開されている。動画では、生徒が「都立学校専用生成AI環境」というWebページで、AIチャットを活用して数学の問題を解いている姿が見られた。また教師が「大学入試で絶対使わないでください」とAIの不正利用にクギを刺していると思しき場面もあった。

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