AIスタートアップのオルツ(東京都港区)は6月5日、同社が2024年12月期の売り上げ60億円のうち、7割にあたる約40億円を水増しした可能性があるとする朝日新聞の報道に対し、声明を出した。「当社として具体的な事実関係を把握しているものではない」としている。
オルツは複数の会社との取引を偽装して資金を自社に戻す「循環取引」という手法で決算を粉飾した疑いが持たれている。同日に掲載された朝日新聞の記事によると、証券取引等監視委員会が4月、オルツが有価証券報告書の記載を偽装したとして、金融商品取引法違反の疑いで、同社に強制調査を行ったとしている。また、同社関係者の一部が、架空計上を認める説明を監視委にしていると報じていた。
オルツを巡っては4月25日、同社が販売する議事録ソフト「AI GIJIROKU」について、サービスを開始した20年以降、売り上げを過大計上している可能性があると公表。第三者委員会を設置して調査するとして、5月に発表予定だった25年12月期第1四半期決算も延期するとしていた。
朝日新聞の報道に対し、オルツは「一部の販売パートナーから受注し計上した売上について、有料アカウントが実際には利用されていないなど、売上が過大に計上されている可能性が認められた」として、第三者委員会による調査を受けていると改めて説明。報道のあった事実関係は把握していないとした。
オルツは14年に設立。AI技術により会議の議事録を自動的に作成できるAI GIJIROKUをはじめ、AI関連サービスを複数開発・提供している。
“売上の過大計上”疑惑のオルツ、臨時株主総会を8月に開催へ 「ガバナンス体制の強化を図るため」
議事録ソフト「AI GIJIROKU」のオルツ、“売り上げを過大計上”の可能性 四半期決算発表が延期に
“売上の過大計上”疑惑のオルツ、16日の主催イベントを中止 「第三者委員会の調査中のため」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.