スウェーデンの精密機器メーカーHexagonは6月17日(現地時間)、人型ロボット「AEON」を発表した。足先に車輪が付いており、二足歩行と組み合わせることで移動性能を高めたという。産業向けの展開を予定しており、産業機器の製造などを手掛けるドイツSchaefflerと、スイス航空機メーカーPilatusで試験導入する。
AEONは身長165cm、体重60kgの人型ロボットで、両足の先に1つずつ車輪が付いている。Hexagonが同日に行った発表イベントの配信映像では、平らな場所を車輪で移動する姿を確認できる。移動する際の最高速度は2.4m/s。同社独自の精密計測技術で、高精度のタスクをこなしながら、素早く移動できるという。また同日に公開したデモ映像によると、階段の段差は二足歩行で乗り越えるようだ。
ボディーには、ロボットの前後を認識する12個のカメラやARカメラなど、22個のセンサーに加え、3台のコンピュータを搭載。1台は汎用コンピューティング用、残りの2台はAI用で、オンボードでAI処理できる。
AIによる推論性能と、空間認識・処理を組み合わせ、視覚や音声などセンサーからの入力情報を統合。周囲の環境を認識しながら、目の前のタスクを完了するため、リアルタイムで行動を最適化するという。
AEONの開発には、米NVIDIAや米Microsoftなどが協力した。NVIDIAのAI向け小型コンピューティングボード「Jetson」を搭載。MicrosoftのクラウドサービスであるAzureなども活用しているという。
モーションコントロールにもAIを活用する。遠隔操作にも対応しており、物体の操作や設備点検など、幅広いタスクに対応できるようにした。全身の自由度は34で、荷物は最大8kg、短時間であれば15kgまで運べる。バッテリーの自動交換機能も備えており、充電を挟まず連続で使用できるという。なお1回の充電では最大4時間稼働する。
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