「人間がプログラムする時代は、もう目の前で終わろうとしている」――ソフトバンクグループの年次イベント「SoftBank World 2025」の特別講演で、同グループの代表取締役会長兼社長の孫正義氏はこのような見解を示した。同グループでは、AIエージェントの導入により、人間によるプログラミングを段階的に廃止する方針という。
「いかにプログラミングを人間の作業からAIエージェントに置き換えるか」を指標に据え、30%、50%、100%と段階的に代替率を増加させていく。孫氏は「最終的にプログラミングは、われわれの社員はやらないと決めている」と展望を語った。
ソフトバンクGは2月、米OpenAIと協力し、導入企業に特化したAIを構築する「Cristal intelligence」を発表。他社に先駆け、ソフトバンクGが導入するとしていた。今回明らかにしたAIによるプログラミング推進もその一環という。
孫氏は講演で、Cristal intelligenceに関し、ソフトバンクG全体で2025年内に10億個のAIエージェントの開発を目指していることも明かした。複数のAIエージェントを連携させる「エージェントOS」の導入や、AIエージェントを開発する環境も整備する。
さらに、AIエージェントがAIエージェントを作成する仕組みを導入する。社内の会議や、プロジェクトの進捗などのデータをもとに、日々生じるタスクを解くために必要になる学習の仕組みを、AIエージェント自身が設定。「エージェント自らが自己増殖と自己進化をする」方式により、AIエージェントを量産する予定だ。なお、この方式については、孫氏が特許を出願済みという。
開発したAIエージェントは、プログラミング以外にも、リサーチや交渉などの業務でも活用する予定だ。具体的には「社員1人あたり1000個以上」のAIエージェントを提供。これにより、社員1人で領域を問わず全ての業務を担えるようにしたい考えを示した。
孫氏は1月に発表した、ソフトバンクGと米OpenAI、米OracleによるAIインフラ構築事業「Stargate Project」にも言及した。同事業は、1回のサイクルでチップの数と性能、AIモデルの演算性能をそれぞれ10倍に増設し「1000倍ぐらい(AIの)能力がアップする」との法則に基づいていると説明。このサイクルを3回実施すると、10億倍になるとアピールする。
他方で「自転車と新幹線のスピードの差は20倍。たった20倍の差で全く別の乗り物になる」として、10億倍という変化において「われわれが想像できないくらい常識が変わる」と主張。「AIって大したことない」「AIの限界が見えた」といった言説に対し、「AIの限界が見えたのではなく、あなたの理解の限界が来られただけ」との持論を展開した。
【修正履歴:2025年7月16日午後4時】記事掲載当初、タイトルに「SB社員も」と記載しておりましたが、「SBG社員も」に修正しました。
【修正履歴:2025年7月17日午前10時】タイトルの「SBG社員も」との記載を「グループ社員も」に修正しました。
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