朝日新聞社と日本経済新聞社は8月26日、AI検索サービス「Perplexity」を運営する米Perplexity AIに対し、東京地方裁判所に共同で提訴したと発表した。読売新聞グループの提訴に続くもので、両社が作成した記事の無断利用による著作権侵害など、それぞれ22億円を請求するという。
両社は、自社サイトで検索エンジンのクローラーに対し、アクセスの可否を表示する「robots.txt」によって、記事の利用を拒否する意思を示しているにもかかわらず、Perplexity AIは、これを無視して記事を利用していると指摘。著作権法の複製権(同21条)と翻案権(同27条)、公衆送信権(同23条)を侵害していると主張した。
また、Perplexity AIが同社サービスの回答に、両社の記事や社名を引用しながら、記事と異なる誤情報を表示しているとも指摘。新聞社の信用を毀損(きそん)しており、不正競争行為(不正競争防止法2条1項21号)に当たるとしている。
両社は、Perplexity AIに対して「記事の複製・送信の差し止めと保存した記事の削除、両社の社名や記事を表示して虚偽の回答を送信することの差し止め」を要求。著作権侵害や不正競争行為で被った損害の一部として、各22億円を請求するという。
両社によると、今回の共同提訴は、2024年夏ごろから協議を続けてきたものという。Perplexity AIの一連の行為については「記者が膨大な時間と労力を費やして取材・執筆した記事コンテンツについて、対価を支払わずに大量・継続的に『ただ乗り』するもの」と批判している。
Perplexity AIと日本の新聞社を巡っては7日、読売新聞東京本社など読売新聞グループ3社がPerplexity AIに対し、東京地裁に提訴したと発表。記事の無断利用停止と、約21億6800万円の損害賠償を求めていた。
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