米Googleは10月9日(現地時間)、企業顧客向けの新たなAIプラットフォーム「Gemini Enterprise」と「Gemini Business」を発表した。同社が「職場におけるAIへの新たな玄関口」と呼ぶ、AIモデルを搭載し、企業の従業員がデータや文書、アプリとチャットできるようにすることで、AI機能をあらゆるワークフローにもたらすことを目指す会話型プラットフォームだ。
システムは最先端のGeminiモデルに基づいて構築されており、従業員は会社のドキュメントやデータと対話できる。また、コーディングの知識がないユーザーでもカスタムAIエージェントを構築・展開できるノーコードワークベンチが提供されている。さらに、Deep ResearchエージェントやData Scienceエージェントなど、事前構築されたエージェント群も含まれており、導入初日から価値を提供できるように設計されている。
Gemini Enterpriseの最大の特徴は、その統合性にあるという。「Google Workspace」や「Microsoft 365」といった日常的に使用するツールに加え、SalesforceやSAPなどの基幹業務アプリケーションとも安全に接続し、コンテキストを構築できるとしている。
これにより、単なるタスクの自動化ではなく、ワークフロー全体の自動化が可能となる。Google Workspaceの場合、テキスト、画像、動画、音声を処理できるマルチモーダルなエージェントが利用可能となり、例えば「Google Vids」による動画作成 や、「Google Meet」でのリアルタイム音声翻訳 といった機能が提供される。
Google Cloudのトマス・キュリアンCEOは、顧客企業はAI採用アプリの構築にとどまらず「エージェントの構築に進んでいる」と語った。
Gemini Businessは、中小企業や大企業の部門を対象とする、機能の少ないより安価なプランだ(セキュリティと管理機能の一部が少なく、クラウドストレージ容量も少ない)。料金は、年間の定期プランでGemini Enterpriseは1ユーザー当たり月額30ドル、Gemini Businessは1ユーザー当たり月額21ドル。
Googleは、Gemini Enterpriseを既に採用している企業として、ソフトウェア設計のFigmaや、クルーズ企業のVirgin Voyagesを紹介した。Figmaは、コミュニティの創作活動の支援にこのプラットフォームを使っているという。プラットフォームのツールに「Gemini 2.5 Flash Image」(通称「Nano Banana」)が搭載されているため、ユーザーは指示を出すだけでブランド承認済みの高品質な画像を生成し、AIで細部を編集できるとしている。Virgin Voyagesでは、「Veo」と「Imagen」を活用して、独自のブランドイメージにマッチした広告やメールを生成しているという。
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