「権利侵害はなかったが、関係者に懸念を生じさせるのは本意ではない」――DMMグループでAI関連サービスを開発するAlgomatic(東京都港区)は、AI音声サービス「にじボイス」で33件のキャラクターボイスを取り下げた理由を、ITmedia AI+の取材に対して明かした。日本俳優連合(日俳連)から「組合員の声に酷似している」との指摘を受け、今回の対応に至ったという。
この問題を巡っては、俳優や声優の権利保護活動などを行う日本俳優連合が7日、「『にじボイス』に対し、33件のキャラクターボイスが組合員の声に酷似している件について問い合わせを行った。その結果、音声を取り下げるとの回答を得られた」と報告していた。
一体何があったのか。Algomaticに詳細を聞いた。
にじボイスは、Algomaticが2024年12月に正式にリリースしたAI音声サービス。「声の権利を守るためのプラットフォーム」をうたい、AIの学習には「適切に権利処理された音声データのみを使用している」としていた。
今回取り下げたのは、にじボイスで提供していた全124キャラクターのうち、33キャラのボイス。Algomaticによると、9月29日に日俳連から、組合員の声に酷似しているとして、33キャラの削除を求める書類を受け取った。その後、社内で取り下げを決定し、10月3日に日俳連に報告。31日に33キャラの提供を終えたという。
Algomaticは、33キャラの音声について「再度調査を行い、法的な権利侵害は確認されなかった」と述べる。一方、音声を取り下げた理由として「声の権利を尊重するプラットフォームとして、関係者に懸念を生じさせること自体が本意ではないと考えた」と説明。「権利侵害の有無に関する判断ではなく、あくまで関係各所への配慮の観点から当社が自主的に判断した」としている。
権利侵害がなかったにもかかわらず、なぜ33件のボイスに対し、日俳連から「組合員の声に酷似している」と指摘される事態になったのか。Algomaticに聞いたところ、以下の返答が得られた。
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