安全保障などの観点から国産AIモデルへの関心が高まる中、有力なモデルの一つとして注目を集めるNTTの「tsuzumi 2」。2025年10月、「(国産AI開発競争には)負けられない」という意気込みと共に発表されたtsuzumi 2の滑り出しは。島田明社長は2月5日に開催した2025年度第3四半期(25年4月〜12月)の決算会見で「国内の引き合いは2000件ほどある」と現状を明らかにした。
島田社長によれば、第3四半期までのAIビジネスの受注額はグループ全体で約1478億円。すでに年間目標としていた1500億円に届く勢いだ。このうち多いのは「Azure OpenAI Service」の導入支援といった案件だが、tsuzumi 2についても2000件ほど引き合いがあり、特に自治体・金融・医療からの問い合わせがあるという。
「データを外に出せない事業者からの問い合わせが多くなっている。NTTデータの欧州エリアでも『Mistral』(編集注:仏AI企業Mistral AIが提供する、ローカル環境でも実行可能なモデルの総称的な表現)の需要が出てきており、いわゆる“プライベートAI”“ソブリンAI”の需要はこれからだんだん高くなってくる」
特に金融業界などでは、クラウドでの処理が必要な大型モデルと、クローズドに利用できるモデルの使い分けが生まれてくると島田社長。「マルチにオープンに、お客さまの利用できるAIをコンサルティングして実装してもらうのが望ましい」と、tsuzumi 2含め多角的にAI活用を支援していくとした。すでに進んでいるトヨタ自動車との協業も含め、デジタル・フィジカルを連動させたAI活用やその社会実装も加速する方針だ。
tsuzumi 2は、NTTが23年11月に発表した「tsuzumi」の後継モデル。パラメータ数は300億で、tsuzumiの70億から強化した一方、米NVIDIAのGPU「A100 40GB」1基で動作する軽量性が特長で、他にも日本語性能や金融・医療・公共分野の専門性を強みとしている。
NTTの2025年度第3四半期累計(25年4月〜12月)の連結決算は、営業収益が10兆4210億円(前年同期比3.7%)、営業利益が1兆4571億円(同4.1%)、純利益が9261億円(同8.9%)と増収増益で、営業収益は過去最高だった。
ただし、NTTドコモにおいてネットワーク品質改善や顧客基盤強化に想定以上の費用投下を見込むことなどから、通期業績予想は下方修正。営業収益を14兆1640億円(当初予想は14兆1900億円)、営業利益は1兆6600億円(同1兆7700億円)、純利益を9650億円(同1兆400億円)に変更する。
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