手帳はスケジューラからクリエイティブ・ギアへ2009手帳マッピング(2/2 ページ)

» 2008年09月02日 20時36分 公開
[郷好文,ITmedia]
前のページへ 1|2       

アイデア手帳の選択肢その1:発想ガイドがありやなしや

 さてGRAPHISCHES HUNDBUCHのアイデア面を見ると、空白の長い罫線メモのエンドには「分度器」や「黄金比の図形」などをデザインしたページがある。すべて空白のページでもいいのに、なぜこんなページをわざわざ作ったのだろうか?

 それはアイデアが出ないとき、背中を押してあげよう、そんな心遣いのはず。手帳の白いページをいくら眺めてもアイデアが浮かばないとき、ページをめくり“ガイド”に頼る。思考の方向舵を変え「こう考えてみたらどう?」という発想転換のガイドが、図形や分度器なのである。

 アイデアを生み出す手帳には、例えば格言や発想のヒントが各ページにあるような、ガイドの要素が多い「ガイドFull」なものと、ただひたすら罫線/無地ページでできたメモ帳のような「ガイドLess」なものがある。こうした“発想ガイド”の有無があなたのアイデア手帳の選択肢その1である。

アイデア手帳の選択肢その2:ひとりか、みんなか

 たいがいのアイデアとは新しい結合である。今までのモノ・コトが新しい結合でフツフツしたとき、私たちはグッとくる。これがアイデアの根本である。

 アイデアのフツフツ、たいていひとりでやる。それを書き留めるのが、記入自由度の高いメモ帳である。よりよいアイデアを求めて思考は練り返される。ひとりだとほどなく行き詰まるのも事実。GRAPHISCHES HUNDBUCHの蛇腹機能は、その行き詰まりをユルめてくれる。

 蛇腹手帳は自分の発想経歴を“絵巻物”として一望できる。パタパタと蛇腹を伸ばして「あれ? 似たことを前に考えたことがあるな」。1つの発想の原点を探る。過去の書き込みと、今のヒントを手帳の中でフツフツさせることができる。かなり手のこんだ手帳なのである。

 でもどうしても、ひとりでは行き詰まる。誰かとフツフツしてこそ発想は広がるのだ。自分との対話だけでなく、誰かと雑談してアイデアを拡げよう。思いつきを相棒に見せて、ああでもない、こうでもないと語り合う。しばし沈黙の後、どちらかが言う。「分かった!」――突破口のアイデアが生まれる。そのとき手帳はホワイトボードのようなコラボレーション・ギアになる。

 ひとりからみんなへ。発想が仮説になり実行に移される。アイデア手帳の選択肢その2は、“ひとりかみんなか”。モノローグ(独白)手帳か、ダイアローグ(対話)手帳か。

アイデア手帳をポジショニングする

 この2つの基準(ガイドと対話)を軸に置き換えて、この集中連載で取り上げる手帳をポジショニングした。

ポジショニング図

 ヨコ軸は「アイデアのガイド軸」で、ガイドの多さ/少なさ。コクヨの「文庫本ノート」VS.「ほぼ日手帳」の格闘になりそうだ。これは次回のテーマ。タテ軸は「アイデアの対話軸」で、ひとりでフツフツするか、みんなでフツフツするか。仕事の手帳はパーソナルなものか、オフィシャルな情報源になりうるのか、これを3回目のテーマにしたい。

 右上の象限にはIBMや本田技研の手帳のような“企業仕様手帳”や、“専用のリフィル”、その先にいわゆる“情報共有ツール”、サイボウズやSalesForceに代表されるグループウェアがある。組織をあげて「コラボレーションしよう!」と口で言うのは簡単。でも手書きからキー入力に変わるだけではない。「上司や同僚と価値観を共有できますか?」が問われるのだ。情報共有がうまく行かない会社は、手帳も胸も閉じているから。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ