解説編 吉田和人の営業ツール「紙芝居」の秘密とは奇跡の無名人たち(3/3 ページ)

» 2008年10月15日 11時30分 公開
[森川滋之,ITmedia]
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営業体制の変更

第2回 最初の決断

 和人はとうとう決断した。体制を変えることにした。2週目の最初の朝礼で、全員に宣言した。

 和人は雇われ所長で、体制も営業目標もすべて本部から与えられていました。実話でも同じだったのだそうです。体制を変える権限も実際に持っていなかったと聞いています。

 これこそが高度成長期の名残りで、「一定の営業機会があればそれだけ売れるはずなので、みんな外に出してしまえ」という考え方です。もちろん、見込み客との接触機会が増えるほど販売本数も増えますが、今は闇雲にやってもダメな時代なのです。

 つまり、営業のバックオフィスが重要な時代になったのです。C市の営業所では、イケメンとジンジ、それと第6回で初めて出てくるチェッカーがバックオフィスとして重要な役割を果たしています。イケメンはアポ取りの天才、ジンジは社内関係部署からの情報(事例や技術情報)収集の専門家、チェッカーは資料作りの鬼という設定です。

 実は日本の「営業」は非常に広い概念なのです。海外の営業は、マーケティング、リサーチ、プレゼンテーション、セールス、フォローの5つの職種に分かれていますが、日本の営業の皆さんはたいてい1人でやっているのではないでしょうか。人には得意不得意がありますから、国内マーケットの特性に合わせながらも、分担できるところは分担するという考え方がもっと普及すべきでしょう。

 もう1つ。和人が営業部員をペアにしていることにも注目してください。1人が仮に病気などで休んだ場合も、これなら引き継ぎなしに顧客接触が継続できます。精神的な負担も少なくなるのです。

イケメンのアポ取り

第2回 最初の決断

 会議が終わると、イケメンがアポを取り始めた。何だか良く分からないが、5、6本に1本はアポが取れていく。通常は10本に1本も取れたら、かなり優秀なので、これは驚異的な数字だ。

 イケメンが笑顔で電話すれば、アポが取れるなんていうのは、さすがに脚色です。ですが、表情や声など外に見える部分に注意を払うと、感情もコントロールできるというのは、事実のようです。表情以外にも呼吸を整えるというのも効果があります。感情そのものをコントロールするより、感情の結果をコントロールするともとの感情もコントロールできるというわけです。

 それよりも大事なのは、電話越しなのに笑顔だということ。ふだんから心がけていないと思わぬところでボロが出ます。売れている営業だけでなく、成功しているビジネスパースンはふだんの人格と仕事をしているときの人格を合わせようと、常日頃努力しているのです。吉見氏も、セミナーのときも私と打ち合わせをしているときも態度や物腰はいつも一緒。人の陰口も一切言いません。だから、初対面の人にも信頼されるのではないでしょうか。

アプローチツールの作り方

第2回 最初の決断

 途中でクオーターが出てきて、パンフレット類一式と2人分のクリアファイル、それからなぜか所長席においてあるラミネート加工するためのパウチッコを取りにきた。

 アプローチツールの作り方のさわりを解説しています。アプローチツールはクリアファイルに入れて持ち歩きます。さらに、紙の資料は水気に弱いし、出し入れしている間にこすれてしまうので、ラミネート加工した方がいいでしょう。

売れる営業のカバン

第2回 最初の決断

 カバン選びのポイントは2つだけ。カバンを床に置いたときにそのまま立つことと、大きなファスナーが2つあること。

 営業カバンというと、アタッシュケースか、革の高級そうなカバンを想像しますが、安くても上の条件を満たすカバンがいいそうです。理由は、本文に書いた通りです。


 ひとまず解説編の第1回はこのあたりで終わります。いかがでしたでしょうか? 次回、次々回と連載第3回以降について解説を続けます。何か分からないところなどがあったら、編集部までご連絡ください

吉見範一氏、「勝てる市場創り」セミナーのお知らせ

 連載「奇跡の無名人たち」の元になった話があります。それが、ぼくのビジネスパートナーである吉見範一氏から聞いた話なのです。この“法人営業の達人”である吉見氏によるセミナーを、以下の日程で開催します。ご興味ある方はぜひご来場ください。

  • 日にち:10月17日(金)から全5回
  • 時間:19:00〜21:00 ※開場18:30
  • 場所:JR大井町駅近辺
  • 参加費:3万1500円
  • 懇親会:別途開催予定

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著者紹介 森川“突破口”滋之(もりかわ“とっぱこう”しげゆき)

 大学では日本中世史を専攻するが、これからはITの時代だと思い1987年大手システムインテグレーターに就職する。16年間で20以上のプロジェクトのリーダー及びマネージャーを歴任。営業企画部門を経て転職し、プロジェクトマネジメントツールのコンサル営業を経験。2005年にコンサルタントとして独立。2008年に株式会社ITブレークスルーを設立し、IT関係者を元気にするためのセミナーの自主開催など、IT人材の育成に取り組んでいる。

 2008年3月に技術評論社から『SEのための価値ある「仕事の設計」学』、7月には翔泳社から『ITの専門知識を素人に教える技』(共著)を上梓。冬には技術評論社から3冊目の書籍を発売する予定。


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