Dropboxを社内外の人と共同して作業するようなコワーキングに利用するシーンも多い。だが、中にはDropboxに懸念を持っている企業も多いという。そんな中、法人向けのDropboxライクなサービスがいくつか出てきた。
オンラインストレージサービス「Dropbox」。複数のPCで同じデータを扱いたい時に便利なWebサービスだ。移動しながら社内外の人と共同して作業するようなコワーキングに利用するシーンも多い。
世の中にオンラインストレージサービスはたくさんあるが、Dropboxが優れているのは操作が簡単なこと。専用アプリケーションをインストールすると、「My Dropbox」というフォルダができる。このMy Dropboxというフォルダ内に保存したファイルが共有対象になる。
Webブラウザ上での操作もできるが、基本的な操作は共有したいファイルをMy Dropboxフォルダに入れる(ドロップする)だけ。通常のブラウザを使ったオンラインストレージサービスの場合、(1)ブラウザを開いて、(2)そのサービスにアクセスし、(3)ログインしてから、(4)ファイルを選択し、(5)アップロードボタンを押す――といった流れだが、Dropboxではフォルダを開き、ファイルを入れるという2段階の操作で完了するわけだ。
こうしたシンプルな操作がウケて、最近では法人利用も増えているDropbox。だが、その一方で利用を制限する企業も多い。というのも、
といった点に懸念があるからだ。そうした中、企業の中でも利用できるようなDropboxライクなオンラインストレージサービスが増えている。5月9日から11日かけて東京ビッグサイトで行われた「クラウドコンピューティングEXPO」の会場で目立ったものを紹介しよう。
2012年4月にサービスを始めて以来、100社以上が利用しているのが大塚商会の「たよれーる どこでもキャビネット」。WindowsやiPhone/iPadに対応し、専用クライアントをインストールすることでDropboxのように専用フォルダにファイルをドロップするだけでファイルを共有できるサービスだ。
クライアントソフトはMac OSには対応していないものの、MacからでもWebブラウザ経由で利用できる。法人向けらしく一部複合機からのスキャンデータを共有することも可能だ。セキュリティ対策としては、ファイル登録時のウイルスチェックや、ログイン元IPアドレスやログイン回数、アクセス回数の履歴確認、IPアドレス制限、アクセス権の設定、SSL通信を備えた。
初期費用は無料。月額利用料は10ユーザー/50Gバイトで3000円〜。クライアントソフトのAndroid版は今後提供する予定。Mac版についてもユーザーの反響次第だという。
PCやスマートデバイスの周辺機器メーカーとして有名なエレコムが提供している法人向けのDropboxライクなオンラインストレージが「SureAx(シュアックス)」。こちらは1ライセンスあたり1Gバイトまでで月額1575円。Windows XP/Vista/7のほか、iPhone/iPad(iOS 4.3以降)、Android 1.6以降の端末で利用できる。
操作ログを保存するほか、遠隔操作でIDごとの利用を止められる。またフォルダごとに閲覧権限を設定することも可能だ。ただしDropboxとは異なり、Webブラウザからファイルの共有や閲覧はできないので、クライアントソフトのないMacからの利用は難しい。
エレコムと言うと周辺機器の印象が強いが、今後はこうしたアプリやWebサービスにも注力する予定。NAS(ネットワークHDD)などの同社製品にSureAxの利用権を同梱するなどして付加価値を向上する狙いだ。
国内通信事業者最大手のNTTも黙って見ているだけではない。年内をめどにDropboxライクなサービスを提供する予定だ。こちらはNTT西日本が開発しているが、実際は国内全域がサービス対象になるため、NTTコミュニケーションズなどのグループ企業から提供する見込み。
Windows PCのほかiPhone/iPad、Android各端末に対応。アクセスログやウイルススキャンなども備え、月額料金は50Gバイトで月額2000円程度を予定。先行する大塚商会を意識した値付け。「NTTが提供するという安心感を最大限生かしたい」という。
というわけでざっと見てきたがいかがだっただろうか。Dropboxとの一番の違いは恐らく価格。無料のDropboxに対して、法人向けは月額1500円以上するところがほとんど。容量にも差があるが、この価格分の機能が必要かどうかが導入の決め手になりそうだ。
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