上司が部下に言ってはいけない、10のセリフ新連載・若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門(2/5 ページ)

» 2012年10月04日 11時00分 公開
[吉田実,Business Media 誠]

「上司力」とは何か

 3年前に比べて、職場における課長の変化を聞いたところ、最も多かった回答が「業務量が増加している」との回答で54%にも上っている(産業能率大学調査)。課長には部下に対して手とり足とり育成する時間はほとんどない。その上、部下の管理をするにも内容が多岐にわたり、十分な管理ができないのが現実だ。課長に共通する悩みは「時間がない」ことである。マネジメント研修に出て「部下育成」の重要性を教えられても、「そんなことは分かっている。部下育成の時間を作れないから困っているのだ」というのが本音である。

産業能率大学「上場企業の課長を取り巻く状況に関する調査」より

 一方で、グローバル化が加速する中で、人材育成はどのように変化していくのであろうか? 既に、新卒採用において外国人の採用は当たり前となっている。先日、ある日系企業のマネジャーと話をしていたところ、部下の国籍が8カ国籍にわたるとのことだった。近い将来、多国籍で働くことは当たり前になってくるだろう。

 このような時代において、上司が部下に対して、手とり足とりスキルや知識を教えることや、モチベーションのケアをすることは、現実的ではなくなってくると考えられる。なぜならば、既にスキルや知識を持ち、モチベーションの高い外国人が新卒採用や中途採用で採用されることが当たり前になるからだ。

 今の時代における「上司力」とは、何なのだろうか? 上司力のある上司とは、上司が手とり足とり教えなくとも、部下が成長する上司である。上司力のある上司のもとでは、部下自身が自らを管理し、自ら成長していく。即ち、上司が部下をマネジメントするのではなく、部下自身にセルフマネジメントをさせる力こそが、「上司力」なのである。

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