上司力とはどのようなチカラなのか? 3つの要素を紹介する若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門(1/4 ページ)

上司の指示通りに動いていればいい……という時代は終わった。これからの時代に求められるのは自らが管理し、自らが成長していくことだ。そのためにはどのようなことをすればいいのか。3つの要素を紹介する。

» 2012年11月01日 11時00分 公開
[吉田実,Business Media 誠]

若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門:

 著しい労働環境の変化に振り回される昨今、上司がマネジメントに徹することは難しく、実務をこなしながら部下育成やチーム作りを行うことは、もはや当然のことになりつつある。しかし働き方が多用化する中で、影響力を発揮できる「上司力」を持つ人材は少ない。そこで本連載では「上司力入門」と題し、20〜30代前半の若手社員のうちから「上司力」を鍛える方法を、人材育成の専門家が解説する。

著者プロフィール:

吉田実(よしだ・みのる)

株式会社シェイクの代表。

大阪大学基礎工学部卒。住友商事株式会社に入社。通信機器の営業、携帯電話を活用した新規事業立ち上げに携る。2003年シェイクに入社。営業責任者として、人材育成事業の立上げ、拡大に従事。2006年よりファシリテーターとして登壇し、実績は新入社員から若手・中堅社員、管理職層まで多岐に渡り、育成に携わった人数は1万人を超える。

2009年9月より代表取締役社長に就任。最近は、中堅社員育成の専門家として、メディアでも広く取り上げられている。2011年1月に書籍『「新・ぶら下がり社員」症候群』(東洋経済新報社)を出版。


 昨今、「グローバル人材」という言葉が、経営者や人事部の中でよく使われる。日本市場は少子高齢化により、市場規模が縮小していくことは明らかであり、成長を維持するためには、海外市場に目を向けざるを得ない企業がほとんどである。

 日本企業においても、外国人採用は当たり前になってきており、日本語の話せない外国人が新入社員として入社してきているケースも出てきている。社内公用語が英語になった企業が出てきていることも、周知の事実である。

 5年後、10年後を見据えた時、職場はどのように変化をしていくのであろうか?

 昨年、シンガポールに出張をして気づいたことがあった。「グローバル人材」という言葉が、日本のように使われていないのだ。シンガポールでは、元々、多国籍の人が一緒に働くことや過ごすことは当たり前のことなのである。

 日本は、シンガポールとは歴史も状況も違うため、全く同じようになるとは思えない。しかしながら、5年先、10年先においては、日本においても、「グローバル人材」という言葉が使われなくなる時が来るのではないかと考えている。そのこと自体が、当たり前になっていくからだ。

 これからの時代を語る上でのキーワードは、「多様化」や「不確実性」である。答えがない世の中であり、上司も答えを持っていない。上司が答えを持っていた時代は、上司の言う通りに部下を動かせばよかった。従って、「管理」能力を鍛えることで上司の役割を果たすことができた。しかし、これからの時代における上司に求められる力は「管理」能力ではなく、部下自身が自らを管理し、自ら成長していくことを可能にする力である。これが「上司力」であり、第1回に書かせていただいた通りである。将来「上司」にならない人であったとしても、あなたの周りに人が集まり、あなたの仕事をサポートするためには必要不可欠である大切な力であることをお伝えさせていただいた。

 これからの時代の変化を見据えたときに、高めていくべき上司力とは、具体的にどのような力なのか。今回は、その3大要素を紹介する。

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