それではなぜ、近年になってより「打たれ強さ」を求めるようになったのでしょうか? 主な理由は、3つほどありそうです。
1つ目は、なかなか成果が上がらないことや、顧客からの要求も厳しくなっており、つらいことも多い。厳しい局面に直面しても、乗り越えるための耐性を付けさせるため。
2つ目は、上司や先輩にその兆候を見せることもなく、急に辞めるケースが増加しているため。
3つ目は、メンタル面に問題を抱えるケースが増加しているため。
先に紹介したケースと、打たれ強さを求めるようになった理由を基に組織の現状を推察すると、ちょっとしたストレス発散がしにくい環境にあるといえそうです。
言葉を変えると、強く言われてしんどいことや、悩んだり、困ったりしたことを身近な人に言えない。また、それをどのように表現して良いのか分からない。ということがあるのかもしれません。
実は、私はとても打たれ弱いです。20代前半、ある1人の女性の先輩が怖くて怖くて仕方がありませんでした。何が怖かったか。それは、次のようなことです。
このように、やったことを1つ1つチェックされ、直接だったり、皆の前でダメ出しされたように感じていたからです。
とにかくその先輩の存在が怖くて、その先輩と仕事が一緒になる日はめまいがしたり、胃が痛くなり吐いたりしていました。
しかしその時に、それ以外の先輩が「なんかあった? 大丈夫」「へこむかもしれないけど、頑張ろう」「〇〇さんきっついよね。でも、大事なことだからさ」「一緒に練習しようか」など、声をかけてくれました。
恐らく、その女性の先輩と自分だけだったら、落ち込んだままミスを繰り返し、辛くて辞めてしまったかもしれません。しかし、その女性の先輩以外の上司や先輩が、様子を見ながら声をかけてくれたことで、厳しい時期を乗り越えられたのです。時間が経つにつれ、その女性の先輩が指導してくれようとしたことの真意も、理解できるまでになりました。
この経験から、「打たれ弱い人」を「打たれ強く」と考えるよりは、新しい環境で毎日今までの自分の価値観や経験とは違うことをインプットする必要があります。時に厳しいことを言われることや出来事に直面することが続く1カ月〜半年は、直接指導する先輩だけでなく、周囲も「様子を見る」「声をかける」「話を聞く」など、日ごろのちょっとしたコミュニケーションが効果的だと感じています。
その際気を付けたいのは、同調したり指導はしないことです。あくまで、「大変だけど、やれることをやってみよう」という雰囲気で接しておき、後は、自分は自分の仕事に取り組む姿勢を見せれば、十分です。
時に扱いにくさを感じることもあるかもしれませんが、コミュニケーションを取る上でのヒントになれば幸いです。
※この記事は、誠ブログの「ひといくNow! -人材育成の今とこれから-:なぜ新入社員は受け身なのか?」より転載、編集しています。
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