アイデアや仮説を頭に描き提案の裏付けとなる資料をそろえ、いよいよ企画書作成に取り組む作業に入りますが、ここで事前に再確認しなければならない項目が2点あります。
まず、テーマと自分が立てようとしている企画に整合性が取れているかの見直しをすること。アイデア出しや仮説の検証を行う中で、思考の方向性がテーマから少しずれてしまうことはよくあります。すばらしい思いつきに「絶対にこれしかない」と自画自賛し、本来の目標が低迷しているA商品の販促強化だったのに、A商品のブランドバリューの構築に知らず知らずのうちに思考が傾いてしまっているということをなくすために、アイデアを客観視してテーマと見合っているかを確認する必要があるのです。
そして2番目には「企画の提案対象者」が誰であるかの確認です。誰に提案するかで、企画書の作り方は当然変わってきます。社内のプレゼンテーションで、対象者が多忙を極める取締役の人たちであれば、前段を飛ばし簡潔で結論が先にくる「帰納法(きのうほう)」が適切だろうし、クライアントに時間をかけてプレゼンテーションをするための企画書であれば、先に現象を示し、その結果を見せる起承転結の流れに沿った「演繹法(えんえきほう)」のほうが効果的かもしれません。
企画書は誰が読むのか、担当者とその上司だけなのか。あるいは独り歩きし、他の部署も含めた社内回覧の旅に出るのか。そのあたりの事前の見極めは大切です。
企画書の書き方に「定型」はありませんが、最初のうちはおおよそ次の図の3つのステップに従って作成するほうがまとめやすいでしょう。
(8)の社内用企画書は、(7)企画書作成の手順に従って書いたシンプルな企画書(提案書)のサンプルです。これはあるクリニックのホームページ改訂の提案例(社内用)ですが、社外、つまりクライアントへの企画書では、だいたい次の8つのコンテンツを検討して記述していく作業になります。
このコンテンツや順番も、これでなくてはいけないというものではありません。一般的な企画書の流れです。
企画書のアイデアや仮説の斬新性はいうまでもありませんが、ここでも大切なのはビジネス文書として読みやすい文章にするということです。企画書の場合、どうしても鋭さや知的な装いを優先するあまり難解な表現や専門用語を駆使しがちですが、コンパクトに、かつ誰が読んでも分かりやすくまとめることのほうがよほど重要です。
企画は、それが生み出されてきた道筋があり、理屈があり、訴えたいことがあるはずです。「これこれこういう理由で、このような提案に至りました」と、直球で訴えることを心掛ける必要があります。そしてここでも文章は、簡潔さが第一であることを意識してください。
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