戦略を示す際のツールとして良く使われるのがSWOT分析です。
論点を分かりやすく整理できるのが重宝される理由ですが、弱点もあります。SWOT分析は、対象を次の4つの視点で位置付けます。
この4つをうまく導き出せれば、分析対象となる企業や製品の特徴と周囲の状況が分かりやすく整理できます。しかし、この分析だけでは戦略――つまり「では、どうするか?」が見えてきません。
具体的な例を挙げてみましょう。ある架空の製薬会社Aを、次のようにSWOT分析してみました。
このように、SWOT分析の4つの枠は埋まりました。では、この会社はどんな戦略を取るべきか。弱点である製品ラインアップの脆弱性を克服するのか。あるいは、強みの整形外科領域の専門性をさらに強化するのか。それとも、大手企業と連携するのか戦うのか。SWOT分析で整理された情報だけでは、何も戦略は見えてきません。前回で述べたように「So what(だから、どうした?)」の見解が必要なのです。
ここでは、大幅な設備投資をして製品ラインアップの充足を図るより強みを生かす。つまり、営業推進力に磨きをかけて、得意領域をさらに掘り下げる戦略を取るほうがリスクは少ないと考えられます。SWOT分析の結果、欠点克服のほうにどうしても目が行きがちになるケースは少なくありません。
SWOT分析の弱点はまさにそこにあります。欠点は欠陥にならない程度に維持させ強みに注力し、そこからさまざまな戦略や戦術を組み立ててゆくロジックのほうが、企画としては力を持ちます。
本記事は、『月刊総務』2013年4月号「総務のマニュアル」より転載しました。
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