マルクスは『資本論』の中で、どんどん進化していく機械のおかげで、労働者がますます窮地に追い込まれていくことを指摘していました。機械が登場してきたために、労働者の仕事が「楽」になります。そして「楽」になったために「労働の再生産コスト」が下がって、給料を下げられてしまいます。「いままで手作業だったけど、これからは機械を操作するだけだから、体力を使わないよね。給料は下がって当然だよね」と言われてしまうのです。
世の中のあらゆる場面で、技術は進歩していきます。そして、僕らの生活は豊かになっていきます。しかし、労働者の立場から考えると、無条件に喜んではいられません。技術や機械が、あなたにとって代わり、あなたをより簡単な仕事へと追いやるのです。簡単な仕事は、業界20年のベテランも昨日学校を卒業した新人でも、同じようにこなせます。ベテランの労働力の価値が一気に下がることになるのです。
「技術(機械)に置き換えられるような仕事には高い給料は支払われない」
表現を変えると、こういう言い方になるかもしれません。見方を変えれば、機械や技術に仕事を奪われているとも言えます。
19世紀はじめのイギリスで「ラッダイト運動」という機械打ちこわし運動が起こりました。歴史の授業で習ったことを覚えている方もいるかもしれません。労働者が機械(生産設備)を破壊してまわったのです。なぜそんなことをしたのでしょうか? それは、機械に仕事を奪われて職を失ったからです。
産業革命で次々に新しい機械が発明されました。当然、労働者が手作業で行うよりも格段に生産性がよくなりました。そのため、多くの労働者が職を失いました。機械に仕事を奪われた労働者が、怒り、機械を破壊したのです。中世でも、現代でも同じことが起きています。技術進歩は、人間の生活や仕事を楽にしますが、同時に労働者を苦しめます。
これらが、現代において給料が上がらない、むしろどんどん下がっている原因なのです。
あなたの会社の給料が低い理由
4.日本人はサービスにお金を払わないから
5.技術が進歩すると労働の価値が下がるから
(次回は、「働き心地がいい会社の2つの条件」について)
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