自分の道を決めるというのは難しいことです。それは、他のことはしないと覚悟すること。何でもやれる可能性と決別するので寂しい気持ちにもなります。しかし、すばらしい能力や可能性も、何か1つのことに集中させないと花が開かないのです。
本連載は、石原明著、書籍『トップ3%の人だけが知っている仕事のルール』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
トップ3%に入るような成功者は、少し違った基準で仕事をしています。その基準の多くは、細かいスキルや能力を伴うものではなく、仕事に対する姿勢やモノのとらえ方に関するものです。
ビジネスやプライベートに関係なく、人生において望んだ結果を得るために必要な知識や考え方の基準、さらにはお金の使い方や学習の方法まで、幅広い分野について「教訓=インストラクション」という形でまとめました。
「効率の悪さ」も利益につなげる。読むだけで最強のビジネスパーソンになれる50の法則を紹介。心を身軽にしポジティブな人生を送るための、珠玉の言葉と具体的な方法論を説いた1冊です。
自分の道を決める――。これほど難しいことはありません。多くの人が、自分の道を決められずにいます。
覚悟を決めるということは、少し寂しい気持ちになります。逆をいうと、他のことはしないと決めるわけですから、「何でもやれる」という可能性と「さようなら」しなければなりません。
結婚にたとえてみましょう。結婚さえしなければ、誰とでも結婚できる可能性が残ります。でも、いつまでも結婚しないでいると、どんどん年を取ってますます結婚が難しくなることもあるでしょう。人生には踏ん切りが必要です。
私は一生コンサルタントをすると覚悟しています。もともとは、自分で事業をおこそうと考えて、勉強のために教育や研修をする会社に入社したのですが、結果として、ここでコンサルタントの仕事のイロハを学ぶことになりました。
「コンサルタントの仕事をする」と決めるときは本当に考えました。コンサルタントは、見た目と違って地味で割に合わない仕事です。
一生懸命に仕事をしてお世話した会社の業績が伸びても、しょせんは私の会社ではありません。あくまでも、自分は裏方にすぎないのです。
また、社長や幹部の人たちに、ときには言いにくい提案をするわけですが、私は年齢よりも少し“カワイイ顔”をしているので、最初は「何でコイツに教わらなければいけないのか」と思われるなど、理解してもらうまでに苦労するのです。
コンサルタントの仕事は、個人(社員)の資質がモノを言う面があります。私のノウハウを多くの社員に伝えたからといって、自分は左うちわで社長のイスに座っている、などといったことができる仕事でもありません。
だから、「会社の規模を大きくして、自社ビルを建てる」ということは不可能です。決して派手な仕事ではないのです。
それでも、「一生この仕事で生きていこう」「人の役に立っていこう」と決めてからは、お客さまに本当に喜んでもらったり、お客さまが変わっていく姿を見るたびに、それがかけがえのない私の喜びになりました。
一生懸命やっても、「心から人に喜ばれる」という仕事は、世の中にそうたくさんはありません。
「あなたに会えて本当によかった」と言ってもらえる仕事に就けただけでも、幸せだと思っています。
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