トップ3%に入るような成功者は、少し違った基準で仕事をしています。その基準の多くは、細かいスキルや能力を伴うものではなく、仕事に対する姿勢やモノのとらえ方に関するものです。今回は、パナソニックの創業者、松下幸之助さんの場合を見てみましょう。
本連載は、石原明氏著、書籍『トップ3%の人だけが知っている仕事のルール』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
トップ3%に入るような成功者は、少し違った基準で仕事をしています。その基準の多くは、細かいスキルや能力を伴うものではなく、仕事に対する姿勢やモノのとらえ方に関するものです。
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「パナソニック」の創業者、松下幸之助さんの有名な話です。
「どうしたら松下さんのように成功できるのですか?」と聞かれ、松下さんはこう答えたそうです。
「あんた、雨の日には傘をさすやろ?」
傘をさせば誰でも松下さんのようになれる、という意味ではもちろんありませんので、どうぞ誤解なきようお願いします。
この言葉の真意を解説する前に、まずは松下さんの生い立ちに触れなければなりません。
これもまたあまりに有名ですが、松下さんは、小さいころから丁稚奉公(でっちぼうこう)に出され、たいへんな苦労をされました。
育ち盛りでおなかもすくでしょう。しかし、「居候(いそうろう)3杯目にはそっと出し」という言葉の通り、何人も丁稚がいるなかで肩身の狭い思いをし、おなかいっぱいになって食事を終えることはありませんでした。だからこそ、実家から送られるせんべいは、お母さまの気持ちが込もった大切な宝物でした。
問題は、せんべいをどう食べるかにありました。
同じ部屋にたくさんの丁稚が寝ていて、1人きりになる時間などありません。だから、松下さんは就寝時間が過ぎてから、ふとんを頭からかぶって、その中でせんべいを食べました。
しかし「パリッ」と大きな音を立てると、他の丁稚に見つかります。大切なせんべいを先輩に取り上げられてしまう。だから、いったん口に含み、唾液で溶かしながら静かに食べたというのです。
奉公人ですから気苦労も多く、それだけに盆、暮れ、正月に帰省するのが楽しみでしかたがなかった松下さん。だからこそ、恋しいお母さまに思い切り甘えたい。でも、家に帰ってもお母さまが家事で忙しく、甘えようにも甘えられない。松下さんはそのとき「お母さんを楽にさせたい」と思ったのです。
日本中の母親を家事から解放してあげたい……。そんな思いから、現在のパナソニック(旧・松下電器産業)を興すのです。
日本中が苦労をしていた時代です。自分の母親や妻を家事労働から解放してあげたい。こう思った人はたくさんいたでしょう。
思うこと、アイデアを出すことは誰にでもできます。しかし、普通の人と松下さんが違うのは、松下さんはそれを実現するために目標を設定し、常に意識してやり続けたことです。
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