内容に自信がない人ほどゴチャゴチャと情報を詰め込むものです。逆に要点だけビシッと言える人は、それだけで「自信と責任感」を印象付けられるもの。たとえ、その発言が多少間違っていたとしても。
部下の仕事の9割は、聞かれたことに正しく答えることです。ビジネスにおける答え方には「こう聞かれたら、こう答える」という決まった型があります。「打てば響く部下」と思われるために必要な「受け答え」の技術を大手予備校で現代文、小論文を指導する「国語のプロ」が伝授します。
この記事は2013年6月14日に発売された中経出版の『仕事に必要なのは、「話し方」より「答え方」』(鈴木鋭智著)から抜粋、再編集したものです。
「どういうことかと言われても……今、申し上げたまんまなんですが」
何を聞かれているのか理解できないという困った状況、よくあることです。これは、「分からない状態」にはいくつもの種類があるのに、往々にして質問する側がどれも「どういうこと?」の一言で片付けてしまうからです。
つまり、どういうこと?
× 説明が足りなくて申し訳ございません。「当店独自の管理体制」というのは、生産地と提携しまして、養殖の段階から水質や生育具合をコンピュータで管理するという最新のシステムでございまして……。
○ 焼いて食べれば平気です。
説明している間に「どういうこと?」と遮られたら、その直前の自分の説明を振り返りましょう。
この場合、ただ説明が長いというだけでなく「菌がいる話(食中毒、海域の細菌数)」と「菌がいない話(独自の管理、滅菌処理)」が交互にくり返されています。そのため聞いているほうは、結局どっちなのか分からなくなってしまうのです。
こういうときは、さっさと要点だけ言いましょう。
ここでうっかり「伝わらない=説明が足りない」と考えて、さらに詳細な説明を付け加えてしまうと、「そういうことじゃないんだよ!」と叱られてしまいます。
人が耳から一度に聞く情報には限度があります。話したほうは「さっき言ったじゃないか」と思っても、聞いているほうは「そんなの聞いてないよ」と思うものなのです(正確には覚えていないだけなのですが)。たとえ「それってどういうこと?」と言葉で質問されなくても、相手の顔を見て急に上の空になったようなら説明を中断して「要するに……」とまとめてあげるべきです。
つまり、どういうこと? = 要点だけまとめろ
内容に自信がない人ほどゴチャゴチャと情報を詰め込むものです。「薄っぺらだと思われたくない」とか「あいまいな部分に気が付かれたくない」不安から、余計な情報をちりばめてごまかそうとするのです。
また、責任を取りたくない人も説明が長くなるもの。「危険性について何も言わなかったじゃないか!」と責められるのが怖いので、「一応、言いました」というアリバイを作りたいのです。
裏を返せば、要点だけビシッと言える人は、それだけで「自信と責任感」を印象付けられるのです。たとえ、その発言が多少間違っていたとしても。
× では最初に13ページを開いてください。まずこれまでの経緯ですが、ここに書いてありますように我が社の売上は4期連続右肩上がりです。ところが、世間での知名度は25ページの表にございますように……。
○ 知名度を上げるため、音楽イベントとのタイアップを考えてみました。詳細はお手すきのときにでも企画書をご覧ください。
こういうやりとりでは、上司に企画書をめくらせた時点でアウト。
毎日山のように積まれていく資料の中から、じっくり読むべきものを選ぶために部下に要点を言わせているのです。そこに書いてあるのにわざわざ自分が呼ばれた意味を考えましょう。
その場ですべてを伝える必要はありません。一言で上司の興味を引きさえすれば、あとでじっくり読もうという気になるのですから。
今回のまとめ:つまり、どういうこと?=要点だけまとめろ
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