ビジネスパーソンのメモで最も大事なのが、他人が見ても議事録を書けるレベル「再現性」があることです。そのためのコツを2つ覚えておきましょう。
部下の仕事の9割は、聞かれたことに正しく答えることです。ビジネスにおける答え方には「こう聞かれたら、こう答える」という決まった型があります。「打てば響く部下」と思われるために必要な「受け答え」の技術を大手予備校で現代文、小論文を指導する「国語のプロ」が伝授します。
この記事は2013年6月14日に発売された中経出版の『仕事に必要なのは、「話し方」より「答え方」』(鈴木鋭智著)から抜粋、再編集したものです。
ガジェット(小物、文房具)好きのビジネスパーソンは、まずメモ帳にこだわります。1枚1枚使い捨てるロディアに対し、永久保存に向くモレスキン、さらにはクラウドに保存するEvernoteなど、自分の仕事のスタイルに合うメモ帳を探す旅は果てがないようです。
「配布した資料にある通り、今期の全支店の売上は23億4000万円で3期連続右肩上がり。特に静岡支店の頑張りは役員会議でも話題になってたぞ。ところが問題は目玉商品となるはずの『PQ156』だけが伸び悩んでいることだ。後発のS社『SA4397』と性能も価格もほぼ同じなのに、若者層をゴッソリ持って行かれている。なんとかこいつをぶっつぶすアイデアを出してくれないか? 明日あらためて会議を開くから、それまでに」
× 今期 全支店 23億4000万円 3期連続右肩上がり
役員会議 目玉×
わかもの ぶっつぶす
○ 現状: 全支店アップ
問題:PQ156× SA4397に負けてる
指示:対策を明日の会議まで
ビジネスパーソンのメモで最も大事なのが「再現性」です。
学生時代のノートと違い、書きっぱなしの自己満足で終わってはいけません。取ったメモは議事録や企画書などの形でアウトプットすることが求められます。
聞いた言葉を全部書き留めようとすると、だんだんスピードが追い付かなくなり雑になってしまいます。単語を断片的に書き散らしては、それぞれの情報のつながりが分かりません。「若者の目玉をぶっつぶそうと役員が謀議していた」とも読めてしまうメモでは困ります。
メモの「再現性」とは、他人が見ても議事録を書けるレベルを意味します。そのためのコツを2つ覚えておきましょう。
(1)事前にフォーマットを作っておく
定期的な会議では段取りや議論される項目がある程度決まっているものです。また自分が質問したいこともあるかもしれません。ならば、会議が始まる前にそれらを見出しとしてメモ帳に列挙し、解答用紙(フォーマット)を作ってしまえばいいのです。すると書き込むのが格段に楽になる上に、誰が見ても内容を理解できます。
(2)資料を見れば分かることは書かない
素早くメモするためには、書くことと書かないことを判断することが大切です。配布資料に書いてあることや、後で調べれば分かることは書く必要はありません。逆に、話の中に出てきた固有名詞や数字(型番)などは正確に書き留める必要があります。これを書き間違えると、あとで調べることもできなくなるからです。
× 料理番組のタイトル決定! 「家族でくっきんぐ」
○ 簡単ボナペティ 彼女のキッチン 深夜のレストラン ビストロおいどん 三つ星料理ショー 手抜き料理1分クッキング 懐かしのマンマミーア キッチン☆アロハスタイル 秘境の食卓 おしゃべりしながらレンジでチン 魔女の夕食 隣の晩餐
会議や講演のメモが「内容を正しく伝える」のが目的であるのに対し、アイデアを出すブレインストーミングのメモは「ダメな案を出し尽くす」のが目的です。
プロのコピーライターでも、100本も200本もノートにアイデアを書き出してようやく1本のヒットが出るといいます。むしろ紙に書くことによって月並みなアイデアを頭から追い出さないと、光るアイデアは芽を出さないのです。
メモ帳をきれいに使おうなどと思ってはいけません。ダメな案で1冊埋め尽くすくらいの気構えが必要です。
今回のまとめ:メモ=伝達用は事前にフォーマット、ブレスト用はダメな案で埋め尽くす
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