怒った相手を味方にする方法「気がきく人」の習慣

お客さまが機嫌を損ねたときは、「決まりですから」とルールで押し切ろうとしてはいけません。誠意を持って対処することで、相手の気持ちも変わっていくのです。

» 2014年07月25日 11時00分 公開
[上田比呂志,Business Media 誠]
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連載「『気がきく人』の習慣」について

『「気がきく人」の習慣』

本連載は、上田比呂志氏著、アスコム刊『「気がきく人」の習慣』から一部を編集・転載しています。

東京・荒木町で大正時代に創業した料亭「橘家」で生まれ、幼いときからおもてなしのいろはを教わり、成人後は三越やフロリダのディズニーランドで気づかいの極意を学んだ著者による「気づかいのコツ」を紹介します。

気づかいができるようになると
・上司、先輩に可愛がられる
・人間関係がうまくいく
・異性にモテる
・仕事がうまくいく
・お金が貯まる
・人生が変わる

など、さまざまな点でうまくいくようになります。

相手を喜ばせ、自分にとってもうれしい結果が待っているいいことづくめの「気づかいのコツ」を学んで、「気がきく人」の仲間入りをしませんか。


習慣05

  • 気がきく人は、怒った相手を味方にする
  • 気がきかない人は、怒った相手にただ謝る

怒った相手を味方にする方法

 三越時代、多摩ニュータウンにオープンする「多摩センター店」の開店を手がけたことがあります。駅前にあった大型家電量販店が急に閉店して空き店舗となってしまい、ここを急遽再生させたいという自治体からの依頼で動き出したプロジェクトでした。

 1階と2階だけを三越にし、上階は大塚家具が入店するという、三越にとってもまったく新しい試み。私たちは、“コンビニエンス百貨店”というコンセプトを掲げ、毎日気軽に通える百貨店を目指しました。

 そのためにはお客さまの住む地域に根ざした店にならなくてはなりません。とはいえ、2フロアだけですから人件費は多くはかけられず、社員はなるべく減らし、サービスの効率化を進めていきました。

 しかし、地元のお客さまからすれば、「三越=日本橋三越」のイメージがあり、日本橋と変わらないサービスを求めます。この差を埋めていくのは大変でした。

 通常ならば許されるレベルのサービスでも、三越のレベルを期待されているお客さまにとっては物足りず、苦情になってしまうのです。

 例えば、開店時間の問題がありました。多摩センター店は11時開店。10時から11時は開けていてもほとんどお客さまがいらっしゃらないというマーケティングの結果もあり、夜の営業時間を延ばす分、開店時間を遅くしたのです。これは人件費の問題による苦肉の選択でもありました。

 しかし、百貨店は通常10時開店です。そのため、開いているものだと考えて10時に来店されるお客さまが少なからずいらっしゃいました。

 冬の寒い時期など、多摩センターは冷えます。外では待っていられません。入れると思ってやってきたのに、ドアが閉まっている。当然、お客さまも困ります。

 「11時オープンなんて、親方日の丸みたいね!」
 「こんなに寒いのに、外で待たせるの!」

 最初は、機嫌をそこねたお客さまからこんなことを言われてしまいました。そこで、私たちは、10時から正面入り口の二重ドアの表のドアを開けて、空きスペースにストーブとイスを用意しました。さらに、そこには、社員がかならず常駐し、お客さまとお話しすることにしました。

 「開店時間が遅い分、閉店時間も遅くなっておりまして、皆様がお仕事を終えた後、多摩センターの駅に着かれてからお買い物ができるようにしています」

 そんな事情を説明すると、最初は嫌味を言われていたお客さまも「それなら、しょうがないわね」と分かってくださり、やがては社員と親しく接するようになってくださいました。

 ストーブを用意して、1時間の間、立ってお客さまをお待ちする。ウソをつかず、正直に理由を説明する。「決まりですから」とルールで押し切ろうとしない。ささやかな気づかいですが、誠意を持って対処することで相手の気持ちも変わっていくのです

まとめ

お客さまに怒られたときは、ウソをつかず、正直に答える。「決まりですから」は、相手の怒りを助長してしまうので注意。

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