“目は口ほどに物を言う”――。人間は言葉に出さずとも、表情ひとつで思っていることが相手に伝わります。いくら声を整えても、笑顔が素敵でないと歓迎されていない印象が残ってしまいます。おもてなしの基本は「笑顔」なのです。
本連載は、上田比呂志氏著、アスコム刊『「気がきく人」の習慣』から一部を編集・転載しています。
東京・荒木町で大正時代に創業した料亭「橘家」で生まれ、幼いときからおもてなしのいろはを教わり、成人後は三越やフロリダのディズニーランドで気遣いの極意を学んだ著者による「気遣いのコツ」を紹介します。
気遣いができるようになると
・上司、先輩に可愛がられる
・人間関係がうまくいく
・異性にモテる
・仕事がうまくいく
・お金が貯まる
・人生が変わる
など、さまざまな点でうまくいくようになります。
相手を喜ばせ、自分にとってもうれしい結果が待っているいいことづくめの「気遣いのコツ」を学んで、「気がきく人」の仲間入りをしませんか。
私はワールドショーケースのジャパンパビリオンの副支配人時代、キャストの面接官もしていました。
そのとき、採用の判断基準にしていたポイントが3つあります。それは学歴でも前職でもありません。
の、3つの条件でした。この3つを備えている人は、人を喜ばせる力を持っています。
1つ目の「笑顔が素敵か」。これは気遣い、おもてなしの基本となるものです。おもてなしをする人で、笑顔でない人はいません。ムスッとした表情の人が何をしても、気持ちがいいもてなしを受けたと思う人はいません。なぜなら、私たちの脳は視覚効果の影響を強く受けるからです。「いらっしゃいませ」と言われたとき、私たちは耳で歓迎の言葉を聞きながら、無意識のうちに目で相手を確認します。
そのとき、店員さんが笑顔でなければ、どんなに愛想のいい声であっても歓迎されていない印象が残ります。聴覚情報よりも視覚情報が強い。これは変えようのない感覚です。
ですから、おもてなしには笑顔が不可欠。もちろん、言葉づかいや声掛けのタイミングも大事ですが、いくら言葉を整えてもお客さまは声を発した相手の顔を見ています。
そこで、私は面接ではかならず「話している間に自然な笑顔が出るかどうか」を見ていました。ずっと表情が暗いままの人は、残念ながら雇えません。
私たちの目は、営業用の張り付いたような笑顔を簡単に見抜いてしまいます。どんなに仕組みを整えても、自然な笑顔が出るかどうかを変えていくのは難しいのです。
2つ目は、「想像力があるか」。相手側から物事を見る力と言い換えてもいいでしょう。相手のことを考えていく想像力のアンテナがないと、お客さまがどうしたいかをおもんばかることはできません。
そして、3つ目は「人を楽しませるのが好きか」。人生も仕事も「よろこばせごっこ」です。人のお世話をするのが好きな人でないと、ディズニーでの仕事は務まりません。
この3つはどの仕事にも通じる、人を気遣う力の根本となります。気遣いによって相手が笑顔になり、楽しんでもらい、その表情を見て自分も楽しみ、満足するのです。
ディズニーには、型から入ることで誰もがおもてなしをすることの喜びを体感できる仕組みがあります。だからこそ、アルバイトのキャストでも、ゲストの想像を超えたディズニー・マジックを生み出すことができるのです。
これは仕組みによって、和のもてなしの達人と同じ結果をもたらすことを可能にしているとも言えるでしょう。
与えることは最高の喜びなのだ。他人に喜びを運ぶ人は、それによって自分自身の喜びと満足を得る
というウォルト・ディズニーの言葉は、ディズニーの仕組みとして現代に伝わっているのです。
まとめ
気がきく人は、笑顔があり、想像力を持ち、人を楽しませることが大好き。
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