一方で、ダメな会議にありがちなのは、会議がはじまってからやみくもにゴールを定めたり、ゴールそのものを出席者から募ったりするようなパターンです。
会議が実際にはじまったあとも、主宰者は会議の目的から外れないことを意識して進行することが大切です。参加者全員が、つねに目的を明確に認識できていれば問題ないのですが、ただ単に盛り上がり、じつは本来の目的からは外れてしまっていて、終わってみたら得るものがなかった――というのは、よくあるケースです。
対処法は原始的です。最も簡単なのは、会議室のホワイトボードのどこかに、会議の目的とゴールイメージを大きく書いておくこと。このとき、一文(ワンセンテンス)で書くことが大切です。
【例】
目的:○○の問題の解決について
ゴールイメージ:○○の問題の解決策と、だれがいつまでに実行するのかが明確になっていること
主宰者自身も盛り上がりにのまれるおそれがありますから、つねに会議の話題が目的からズレていないかどうかを確かめ、参加者にも確認を求めるようにするのです。
もし、議論がズレてしまったら、ホワイトボードを示しながら、「この会議の目的は何だっけ?」と問いを投げるのです。
それによって、参加者の意識は「目的」に戻ります。
会議の主宰者は、特に若い参加者を評価する際、実際に議論に貢献したかどうかは度外視し、会議のスムーズな進行や雰囲気づくりなどに貢献した人をきちんと評価してほしいと思います。
このような細やかさは、会議に大きく貢献しています。場づくりは、いい話し合いをする上でとても重要です。特に外部の参加者がいるような場合は、つまらないことで気分を害されたり、会議の進行を遅らせたりするようなことがあってはいけません。
事前にお茶を準備しておいたり、5〜10分前に会議室に入り、備品をチェックするような行動は、間接的にせよ会議の価値の向上に貢献しているわけです。
参加者が「自分にしかできないことを考え、しっかり準備してきた行為」は、たとえその機会では直接役立たなかったとしても、私なら高い評価を与えたくなります。
彼らはやがて自身のスキルの上昇に伴って、より大きな貢献ができるようになるはずです。全体のパフォーマンスを上げるためにできることをする人が、評価されるべきです。
よい会議には、主宰者の「目的開示」と参加者の「場づくり」が不可欠。
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