普段何気なくやってしまっていることでも、「だから何?」を意識することで、浅い考え方ではなく、物事の本質を見極められる深い思考(クリティカルシンキング)ができるようになるのです。
本連載は、大嶋祥誉著・ソフトバンククリエイティブ刊『マッキンゼー流入社1年目 ロジカルシンキングの教科書』から編集転載しています。
世界最強のコンサルティングファームと呼ばれるマッキンゼーの新入社員は、ロジカルシンキングを叩きこまれます。「直感」や「いい感じ」に頼らず、クリティカルに考え(深い洞察による自分の考えを持ち)、ロジカルに展開する(分かりやすく伝える)ことがなぜクリエイティブであるといえるのでしょうか。
本連載では、ロジカルに展開する前の段階――多くの人があまり掘り下げることなく当たり前のような答えを出してしまう「思考」を見直し、クリティカルに考える(考えを深くする)ための3つの基本姿勢と7つの習慣について掲載します。
このほかにも本書では、
・論理思考は難しくない! ロジシンの基礎講義
・ロジカルに展開する わかりやすく伝える方法
・クリティカルに発想する それ、いいね
・クリシン+ロジシンで独創的な飛躍をする
方法について例を交えながら説明しています。
目の前の問題やテーマに対して「クリティカルな思考」の3つの基本姿勢を持つことの必要性についてお話しました。
けれども、「クリティカルな思考」というのは、具体的な問題やテーマと向き合っているときだけでなく、次のように日常生活のあらゆる場面で習慣づけることで、より自然に深めていけるものです。今回は7つの習慣のうち2つを取り上げます。
家族や恋人、友達や同僚などと話をするとき、無意識のうちに「分かってくれている」という安心感や思い込みを持ってしまっていないでしょうか。
例えば、「ちょっとコンビニに行ってくるね」と身近な誰かが言ったときに、あなたが「ついでに、何か飲み物買ってきて」と頼むとします。
頼んだ相手が身近な人であれば、「何か=あなたが好きな飲み物」を買ってきてもらえるという暗黙の了解があるかもしれません。そんなとき、あえて「何か飲み物」と言うのではなく「やる気をチャージさせたいからエナジー系のドリンク買ってきて」などと、具体的に話すようにしてみましょう。
日常でも「何かついでに飲み物」というような“フワッと”した話し方ではなく、「だから何?」を意識した話し方をすることで、「クリティカルな思考」につながる「思考の筋力」を鍛えることができるのです。
若者2人が、こんな会話をしていました。
「先輩のFacebook見た?」
「見たよ。でも、よく分からなかった」
「確かに、あれじゃなにが言いたいのか分かんないよな。でも“いいね”しといたよ。してないの?」
「えっ、意味分からないのに“いいね”するの?」
「みんなしてるよ。とりあえず乗っかっておいたほうが先輩、機嫌いいんだし」
それぐらい、まあいいか。とりあえずその場がうまくいくのならと、場の空気を読んで「乗っかる」という行動をすることってありませんか。
みんなで食事に出かけて、何を頼もうか考えてるときに、誰かが「じゃあ、今日のおすすめセットで」と言ったとたんに、ほかのみんなも「私も!」。本当は別のメニューがいいなと考えていたのに、つい流れで同調してしまったり。
Facebookの「いいね」や食事のメニューぐらい、そんなに深く考えなくても……と思うかもしれませんが、そうやって「乗っかる」ことを習慣にしていると、どんどん自分の選択や行動の「根拠」が薄れていくのです。
ちょっとしたことでも簡単に「乗っかる」のをやめる。そして、自分がなぜそれを選んだのか、その選択した理由を考えて、ちゃんと「根拠」を言えるように(とくに聞かれなくても)してみることが「クリティカルな思考」への道です。
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