いまやスーパーやホームセンターに「同社の製品がなければ売場が成立しない」と言われるほどに成長したアイリスオーヤマ。その歴史は小さな町工場から始まりました。プラスチック原料に空気を吹き込んで中空製品を作る加工技術を武器に、つぎつぎにクライアントの信頼を獲得し急成長を遂げます。
ところが、1973年秋に起きたオイルショックで業績は暗転しました。需要はピタリと止まり、倒産寸前にまで追い込まれたのです。
リストラという苦渋の決断をしたアイリスオーヤマの再生のための戦略は、自分たちの技術力を前面に出したモノを作るのではなく、お客さまが求めるモノを作ることでした。そのキーワードになったのが、「お客さまの不満を解消するモノづくり」です。
これらはすべて、生活シーンにある小さな不満に目を向けることで生まれてきた商品ばかりです。不満が小さいだけに市場も小さく、だからこそオンリーワン企業として実績を積み上げることができたのです。
いまではカテゴリーも素材も問わない「多業種のモノづくり」がアイリスオーヤマの代名詞とされ、年間1000アイテムを超える新商品を送り出し続けていると言います。
お客さま相談室に寄せられた不満をヒントにヒット商品を開発し続けているのが、食品メーカーのミツカンです。
お客さまの不満の声からヒントを得て、納豆で100億円の売上を達成したのが「金のつぶ あらっ便利!」シリーズ。これは、「たれの小袋が開けづらく、こぼして食卓を汚すことがある」「はがしたフィルムが手について汚れる」といった声から生まれた商品です。フィルム不要の容器と、箸でつまめる固形のたれの開発に要した期間は約8年。画期的な商品として、あっという間に消費者に認められました。
しかし、お客さまからさらなる意見が届きます。
「納豆のスペースが狭くなって混ぜにくい」
「固形状のたれが溶けづらい」
そこで開発されたのが、容器の上蓋にたれを挿入した「パキッ!とたれ」。その容器で商品化された納豆は、約1年間で2億食を突破する大ヒットとなりました。
お客さまの声――そこには、いつも成功のヒントが隠されています。
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