各種SNSに寄せられる潜在顧客の声に耳を傾けることが「ソーシャルリスニング」です。いまや企業のマーケティング活動にとって欠かせない要素となっています。
本連載は、坂本雅志著、書籍『この1冊ですべてわかる CRMの基本』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
GoogleやAmazonなどの有名企業が一番重視しているのがCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)です。
CRMは「企業と顧客の長期的かつ良好な関係を構築する手法・戦略」ですが、ここ数年でCRMを取り巻く環境は激変しています。
ポイントカードや会員プログラムだけでなく、Amazonのレコメンド機能やGoogleの行動ターゲティング広告、携帯電話会社の割引施策まで、その範囲は多岐にわたります。
直近の動向・トレンドを踏まえ、CRMの必須知識や導入のポイントを解説した1冊です。
TwitterやFacebook、各種ブログなどのソーシャルメディア(SNS)に寄せられる消費者の声は年々増え続けており、その信頼度も徐々に高まってきています。こうした潜在顧客の声に耳を傾けることをソーシャルリスニングといいます。
企業のマーケティング活動において、ソーシャルリスニングはいまや必須の要素になっています。プロモーション施策の反響や効果の検証、顧客ニーズの把握、競合調査などにも一役買っているのです。
リスクモニタリングの一環として、風評リスクや品質問題の監視などにソーシャルリスニングを活用する企業も増えてきています。
最近では、選挙の当落や株式市場の予想にも活用されています。
SNSデータは、TwitterやFacebookなどから取得するわけですが、一般ユーザーには一覧はできても、分析に活用できるデータとして生成することはむずかしい状況です。
そこで、SNS各社が公開しているAPI(※1)などを活用し、ほかのサービスと連携させる必要があります。こうしたサービスは、ASP(※2)によって提供されています。
あるアパレル通販会社では、初の自社テレビCMの展開にあたってソーシャルリスニングによる競合テレビCM評価分析を実施しました。
一定期間、Twitterのデータ(ツイート)を収集・分析した結果、「品切れ」に関するネガティブコメントが多く寄せられていました。
そして、競合テレビCMのクリエイティブに対するセンチメント分析(ポジティブ・ネガティブ判定)の結果を、テレビCMのクリエイティブ表現の骨子に反映することにしました。
ある化粧品会社では新商品のキャンペーンを実施する際、ソーシャルリスニングによるキャンペーン効果測定を実施しました。
興味深いことに、売上高とTwitterの投稿量に一定の相関が見られました。考えてみれば、手に取られている商品はそれだけ話題になりやすいということです。
また、Twitterのツイートを分析した結果、「サンプル配布方法」や「店舗での案内方法」に改善点があることが判明したため、店舗運営部と連携をとることにしました。
こうした事例は、さまざまな企業で見られます。
ブログは比較的じっくりと書き込まれるので、ポジティブな投稿が多くなる傾向があります。一方、Twitterなどのミニブログは140文字までの文字制限もあり、「瞬間的なスナップショット」という傾向が強くネガティブな投稿も散見されます。
ソーシャルリスニングを実施する場合は、両者を使い分けることも大きなポイントです。
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