『一勝九敗』――ユニクロが勝ち続けるのはなぜか:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
英国進出失敗、食品事業撤退、社長交代にその後の復帰――。ユニクロの柳井社長は挑戦と失敗を繰り返した。停滞期にこそ、成功の鍵がひそんでいる。ビジネスパーソンもスランプ期こそ大事にすべきだろう。
不況下でもユニクロが絶好調なファーストリテイリング。その経営をリードする柳井正社長の経営書が『一勝九敗』である。書名の通り、数々の失敗が急成長の原動力になっていることが分かる。
失敗が成功の原動力
柳井氏が社長に就任したのは1984年。その年にユニクロ事業も始まった。その後業績は緩やかに伸びるが失敗も多い。関東に進出しても伸び悩み、ニューヨークのデザイン事務所は3年半で閉じ、スポクロ・ファミクロといった新業態も1年で撤退している。しかし、そうした挑戦の先に1998年の原宿店成功とフリースブームが繋がっている。
英国進出失敗、食品事業撤退、社長交代にその後の復帰と、ユニクロが有名になった後も柳井社長は挑戦と失敗を繰り返した。その試行錯誤の上で、日本経済全体が落ち込んだにも関わらず、今期はフリースブーム以来の利益を達成しようとしている。柳井社長がチャレンジを止めない限り、ユニクロはまだまだ成長するだろう。
スランプこそが鍵
ユニクロもそうだったように、マスコミや世間は成功している間のみ持ち上げる。しかし、世間から評価されていない停滞、失敗期にこそ、成功の鍵がひそんでいる。若手ビジネスパーソンも、入社数年後に待ち受けるスランプ期こそ大事にすべきだろう。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
関連記事
- 連載バックナンバー
- 経営コンサルタントの仕事とは――藤沢烈さん(前編)
「これからの日本に必要なのは、革新的な経営感覚を持った若き経営者だ」――そう考え、有望な人材の発掘・育成のサポートに日々邁進する経営コンサルタントがいる。藤沢烈、33歳。マッキンゼー出身、現在は独立してベンチャー企業のコンサルティングを行う、彼の日常とは? - 1人シリコンバレー創業プロジェクト、そして――藤沢烈さん(後編)
「エゴは罪悪ではない」「200年先を見据えて考える」――思案しながら藤沢さんが選びだす言葉は非常にユニークだ。その彼が企画したのは“起業経験がない若い人に、1億円出資します”という一大プロジェクト。彼の思いは、そこに至るまでの人生とは……?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.