前段としてハイブリッドの生まれた背景から解説した方がいいだろう。1990年代初頭、ガソリンエンジンの次世代は燃料電池だと考えられていた。トヨタから初代プリウスがリリースされたとき、「燃料電池車が出るまでのショートリリーフ」と目されていた。
ところが本命のはずの燃料電池が曲者で、すぐにでもデビューするような各社のそぶりにもかかわらず、ちっとも実現されなかった。そのオオカミ少年ぶりは、トヨタが2014年末に突如「MIRAI」を発売するまで(関連記事)、同業者の間では「燃料電池? あと20年は実現しないだろ」と言われていたくらいだ。
実際、現時点ではMIRAIも極めて実験的な取り組みで、背景には石油、シェールガス、水素の次世代エネルギー争いがある。つまりMIRAIは、国策の都合で製品化されたようなもので、インフラの整備も含めて、一般人が普通に購入できるようになるかという点については筆者は少々懐疑的な目で眺めている。
では、なぜハイブリッドがつなぎに過ぎないと思われていたかと言えば、クルマの中枢にして重量物であるエンジンとモーター両方を装備しなくてはならず、重量増加がメリットのほとんどを食ってしまうだろうと思われていたのである。
実際にプリウスが登場しても欧州のメーカーは冷ややかなもので、歯牙にもかけない様子だった。しかし本命であるはずの燃料電池の実用化の遅れが、そう簡単なものではないことが判明し、慌ててハイブッドの開発を始めたのである。しかし時既に遅しで、ハイブリッド関連の特許はトヨタがガチガチに固めてしまった。欧州、もっと言えばドイツ各社は、低燃費型のハイブリッドの開発を諦めざるを得なくなった。その結果、ドイツ性ハイブリッドは低燃費志向ではなくハイパワー型に向かうことになったのである。
さて、そうして先行したトヨタ型のハイブリッドは何が優れているのだろうか? ハイブリッドがエコである理由は2つある。1つはエネルギー回生だ。減速時にクルマの慣性エネルギーで発電機を回し、その電力をバッテリーに蓄える。電車ではとっくの昔から使われていた技術だが、これを自動車で使えるようにしたのだ。
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