コラム
» 2015年08月24日 08時45分 公開

「社員の副業」が招くトラブル予防法小遣い程度の稼ぎのつもりが…(3/5 ページ)

[西内孝文,企業実務]

事例3:副業のネットワークビジネスの勧誘で、大量退職を招いたC

 長い間、年賀状のやりとり程度だった古い友人が突然電話をかけてきて「会って話がしたい」と言います。会社近くの喫茶店で会ってみると、「健康食品を扱う将来性のあるネットワークビジネスがある。一緒に説明会に出てみないか」と誘ってきました。普通ならば、そこから副業につながることは確率的に少なそうですが、誘われたのが古い友人ではなく、同じ会社の信頼している部長だったらどうでしょうか。

 Cが勤める会社はたまたま「本業に支障がなければ副業は自由」だったうえ、Cは生え抜きで人望もあったことから、もうけ話はたちまち社内に拡散します。「部長の薦めなら」と参加する社員が日増しに増えると、消極的だった社員も気持ちが反転。蓋を開ければ、半年後には社員の半数が参加するまでになりました。

 こうなると、さすがに社長の知るところとなり、Cは呼び出されて「副業を諦めて会社に残るか、それとも辞めるか」と迫られます。Cとしては「就業時間中には活動していない」し、「参加した社員ももうかっている」からいいじゃないかと考えていたので、納得がいきません。結局、退職して本業に鞍替えすることにしました。

 これで幕引きかと思いきや、Cに追随して多くの社員が退職してしまいます。会社の評判は落ち、売上も急降下。しばらくして業績は回復したものの、大量退職の一件は、いまだに社長のトラウマになっているそうです。

管理のポイント

安易に副業を放置すると、気付いたときにはこの事例のように手遅れになってしまうことがあります。完全に自由にするのではなく、せめて副業の申請をさせて、条件付きで許可を出すくらいの制度設計ができていれば、情報も早期に集まり、トラブルを未然に回避できる可能性が高まります。

副業について申請書を提出させる場合は、会社の資産、人脈、信用、情報、地位や社名を含む一切の資源を利用しない旨の同意をとっておくことも必要です。


事例4:やたらとリアルな記事投稿で会社の信用をおとしめてしまったD

 記事を執筆して原稿料を受け取るという副業は昔からありましたが、昨今は、ブログやSNSなどを使った「アフィリエイト(成果報酬型広告)」から収入を得る方が増えてきました。

 お小遣い程度の稼ぎなら申告の必要がなく、問題になるケースは少ないのですが、なかには、月に何十万、何百万と稼ぐ方もいます。お金に目がくらんだDも、そんな収入を夢見て、アフィリエイトにのめり込んでしまったのです。アフィリエイトは、どの記事がどのくらい読まれて商品購入などにつながったのかをアクセス解析できるため、売上を伸ばそうと考える方は、しっかり下調べして執筆するようになります。とくに業界の内部にいないと分からない情報やノウハウは、アクセスを集めやすいネタです。

 最初は慎重だったDも慣れてくると欲が出てきて、「匿名ならこのくらいはいいか」「社名や個人名を出さなければ大丈夫だろう」と安易に考えるようになり、取引先や出入り業者のうわさ話から、果ては顧客への不満まで書くようになりました。

 ところが、ある日会社に出社したところ、他の社員からの通報で「こんな記事が出回っている」と大騒ぎになっていました。社をあげて犯人探しに躍起になっているいま、Dは戦々恐々としています。

管理のポイント

ネット上の拡散スピードは想像以上に早く、内容によっては、大きなトラブルを招いたり、会社の信用やブランドイメージを低下させることになりかねません。

会社関係の情報については、無断で記事やインターネット上の書き込みを行わない旨を周知徹底しておくべきです。


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