コラム
» 2015年08月24日 08時45分 公開

「社員の副業」が招くトラブル予防法小遣い程度の稼ぎのつもりが…(4/5 ページ)

[西内孝文,企業実務]

事例5:副業先の守秘義務違反に抵触!? 会社のルールとの板挟みに悩むE

 結婚式の披露宴などで出席者が少ないと世間体が悪いため、家族や友人の代役を立てる商売があるのをご存じでしょうか。昨今は、お互いが初婚でないことも多く、友達に伏せておきたいと考える一方で、両家の出席者のバランスや披露宴としての体裁を整えるには、代役でも出席者を増やしたいというわけです。

 この代役を副業にする場合、多くは代行会社に登録しておき、依頼が入ると披露宴に出席するのが一般的なようです。しっかりした代行会社は、事前に依頼者と打ち合わせを行い、参加者名簿の中に代役の方の本業での取引先や関係者がいないことを確認しているようですが、そのチェックが甘いと鉢合わせが起きてしまうこともあります。事例は、この鉢合わせのケースでした。

 参加者名簿では違う会社名が記載され、代理出席と明かすことは代行会社との契約で禁止されています。Eは、何とか取り繕ってその場を切り抜けたものの、退職したのかと心配した取引先の担当者から会社に連絡が入り、説明に窮してしまう事態となりました。

 結局、副業だと説明して事なきを得たものの、新郎が代理出席を使っていたことが発覚したため、代行会社から損害を賠償させられるのではないかと、Eは不安な日々が続いているそうです。

管理のポイント

副業先のルールや契約があったとしても本業である会社との契約や就業規則を優先させる旨を副業を行う社員と事前に話をして徹底しておく必要があります。


事例6:無理な投資から給与の差押え、退職を余儀なくされたF

(画像と本文は関係ありません)

 不動産投資や証券投資については副業として制限していないことがほとんどで、多くの方が投資している現状があります。当面使う予定のない余剰資金の運用ならば、大きな問題になることもないと思いますが、より大きなリターンを求めて変動幅の大きいデリバティブに没頭したり、さまざまなところから借入れを行ってリスクの高い不動産投資に手を出すと、とんでもない事態に陥ってしまうことがあります。

 中堅メーカーの管理職だったFは、普通に働いていては老後の蓄えができないと考え、借入れをしてアパート一棟を購入しました。当初は利回りも高く、順調に借金の返済もできていましたが、近くの工場の撤退が決まってからは徐々に空室が目立ち始めます。不動産業者に言われるまま、さらに借金を重ねてリフォームをしたものの、一向に空室は減らず、月々の返済に給与をつぎ込む状態が続きました。

 ついに、会社にも裁判所から給与や退職金の差押決定が届き、まわりの目を気にしたFは、退職せざるを得ませんでした。

管理のポイント

副業の承認をしたら後は放置という会社も多く、ましてや資産運用は自己責任の範疇(はんちゅう)ですから、会社として関与しにくいものです。

ただ、有能な社員の退職は取引先からの信用や会社の業績などにも影響しかねず、人ごとでは済まない面もあります。投資が過剰になる前に相談に乗ることができていれば、今回のような離職を防げる可能性もあるはずです。


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