「バードストライク」という言葉をご存じだろうか。答えは「飛行機に鳥が衝突すること」。そーいえば、海外で飛行機のエンジンに鳥が入ってしまって、不時着したことがあったような……と思い出した人もいるだろう。
2009年1月、USエアウェイズ1549便が、ニューヨーク市マンハッタン付近のハドソン川に不時着した。原因は「バードストライク」。飛行機のエンジンに鳥が衝突して、エンジンが停止。近くの空港にたどりつくことができなくなったので、ハドソン川に緊急着水する事態になったのだ。
たかだか鳥で? と思われたかもしれないが、鳥をなめてはいけない。エンジンに巻き込まれるだけでなく、翼などに大きなダメ―ジを受けることがある。次に、そんなのめったにないでしょ、と思われたかもしれないが、2014年の数字をみると、国内だけで1900回を超えているのだ。実際に飛行機がダメージを受けた数字をみると、63件にものぼる。
なぜ、こんなにバードストライクが多いのかというと、空港の立地が関係している。日本の空港は海沿いに位置しているところが多いので、海鳥が多く生息している。空港敷地内は緑豊かで人があまり近寄らないので、鳥にとっては生息しやすい環境なのだ。
バードストライクによるトラブルがいつ起きてもおかしくない状況の中で、航空会社の整備士はどのように対応しているのか。もちろん、トラブルはそれだけではない。予測不能な出来事に対して、どのように整備しているのか。飛行機が空港に到着して、しばらくして次の空港に向かって離陸する。その限られた時間の中で、どのような整備を行っているのか。
そんな疑問に答えていただいたのは、JALで整備士として活躍されている小久保吉純さん。この道30年以上のベテランに、整備士としての仕事術などを聞いた。前後編でお送りする。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
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