こうした話を聞くと”ラジオ離れ”に疑問もわくが、「肌感覚としてはリスナーは減っていないが、セット・イン・ユース(ラジオの受信機台数)のスコアを見ると、やはり減っているといえる。入社時には9%あったが、一時期は5%台になっていた」と言う。
ただ、最近は6.8%と回復の兆しもある。昨年12月にスタートした「ワイドFM」(FM補完放送)がその理由かもしれないという。AMラジオの番組がFM放送で聴けるようになり、音質も劇的に改善した。
「聴取率は、人数と時間の掛け算で計算される。聴取率が上がったのは、人数の増加もあるだろうが、聴きやすくなったことで聴取分数が伸びたことも大きな原因では」
「V89」を達成したTBSラジオが次に何を目指すのか。三宅さんは「1位を維持したいという気持ちではなく、ある種のリーディングカンパニーとして、業界を盛り上げていきたいという気概がある。ラジオ業界を盛り上げるためにも、若いリスナーを増やしたい」と言う。
若いリスナーに向けて番組を作ると、メインとなるシニア層に支持されなくなってしまうのでは? こんな心配は逆効果なのだという。
「年齢や性別で勝手にリスナーを決めないことにしている。今の20代、30代、40代にとって面白いものは、50代にとっても面白い。逆に制作陣に”50代に向けたものを”と言うと、50代に全く刺さらないものができてしまう。今の50代は、想像しているよりもずっと若い」
世代論ではなく、本質的な面白さを追い、リスナーに届く番組作りをする――その積み重ねが、長期の王座維持につながっているようだ。
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