それでも猫はこうしたブーイングに一切反論せずにカンボジア人のまま1年のうち3〜4カ月は現地に住み、日本国内で芸人活動も続けながら両国でマラソンのトレーニングに真剣に取り組んだ。東南アジア競技大会やアジア競技大会にもカンボジア代表として出場。カンボジア語も密かに勉強しながら地道に陰の努力を重ねた。
とある事情通は、猫についてこのように語った。「『カンボジアで“あれこれ”をやっていますというアピールみたいなことは言いたくない』というのが彼の口ぐせ。食べていかなきゃいけないので日本で芸能活動はやっていますが、カンボジア国内においての活動や生活ぶりは自分のTwitterでファンへ日記的に発信する以外はほとんど“PR”していなかった。『次のリオを真剣に狙いたいんで』と言ってメディアの取材もあまり応じないようにしていたそうです」と。
自身のスポンサーとなっている日本の衣料メーカーの全面バックアップを得て、カンボジア国内の恵まれない子どもたちに靴下をプレゼントする慈善事業も行うなど知られざる貢献も実はここ数年ひっそりと続けている。
それから念押ししておくが、カンボジア代表としての五輪出場プランを最初に持ちかけたのは、猫ではなくあくまでも同国のオリンピック委員会側だ。2010年にアンコールワット国際トライアスロン大会(6月開催・6位)、アンコールワット国際ハーフマラソン大会(12月開催・3位)でいずれも上位にランクインを果たしたことが評価されてラブコールを送られたことが、そもそものきっかけである。
「猫の“商業価値”に目を付けたカンボジア政府が国をPRできると考え、観光客を誘致するなど日本からの経済活性化を目論んだ」ともささやかれている。いずれにしても突然のごとく白羽の矢を立てられながら相手国の国籍変更オファーに乗っかり、一度は挫折しそうになるも五輪出場を諦めなかった猫の愚直さは賞賛に値する。
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