広島カープ独走Vの裏で、四面楚歌になりつつある阪神・金本監督の苦悩赤坂8丁目発 スポーツ246(3/5 ページ)

» 2016年09月15日 06時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

虎党は大歓迎だったのに

 金本知憲監督が今季から阪神ベンチで指揮を執っているのは言わずもがなだ。絶対の期待と信頼を背負い、2005年以来10シーズンも優勝から遠ざかっているチームの再建を託されたのが昨オフ。阪神球団から監督就任要請を受けても一度は固辞したものの再三に渡るラブコールを送られた末に、ようやく受諾した。

 このころの金本監督に対してはネット上の虎党も「今季は優勝できなくても我慢するから、若手をキッチリ育成してくれ」とか「たとえ最下位に沈んだとしても四の五の言うことはない。チームに“金本イズム”を叩き込んでくれ」「阪神の黄金時代を作り上げられるのはアニキ(金本監督の愛称)しかいない」などと、その大半が大歓迎ムードだった。

 ところがシーズンで試合を重ねるごとに順位はどんどん下がり、現在のBクラスが定位置になってくると風向きは明らかに一変。「甲子園対G全敗」という屈辱も加わり、手のひら返しで金本バッシングが日常的に散見されるようになってきたのである。

 阪神タイガースという球団は12球団の中でも非常に特殊だ。何せファンの目が厳しい。虎党の方々の大半は今季の若手育成を厳命されている新人監督に「負けてもいい」「最下位だって大丈夫」と口では言っていても、本心ではそう思ってはいない人が少なくない。

 取材を通じてもこうした声がよく聞かれるようになった。「借金でもせめてギリギリで3位くらいは」「いやBクラスで終わっても、甲子園だけはたくさん勝って欲しい」「とんでもない、若手を育てながら優勝しなきゃだめ」だと。これが虎党の本音のはずだ。たとえ指揮官が若手育成を厳命されていようがいまいがファンの多くは「ボロ負けなどもってのほかで、基本は勝たなきゃアウト」なのである。

 こうした世論の声に対し、阪神タイガースのフロントが右往左往してブレまくっているのが現状のようだ。

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