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» 2018年06月06日 08時00分 公開

35歳でフリーライターになった元公務員が踏んだ「修羅場」独立を告げた時、「周囲」はどう反応したか(4/5 ページ)

[小林義崇,ITmedia]

ヒリヒリするような疎外感のなかで

 2017年7月10日――。それが東京国税局職員としての最後の日だ。その日は定期人事異動の日でもあり、職場の多くの人が異動辞令を受けるのに合わせ、私は辞職の辞令を受けた。

 拍手で見送られながら、異動する人たちと同じタイミングで私も職場を後にしたので、いつもの部署異動のようにも感じられたが、私に向かうべき次の部署はない。そのことに、言いしれぬ疎外感を感じながら、私は自宅に向かった。

 とても暑い日だった。光が強く差し込む電車の中で、「本当に辞めちゃったんだな……」と思いながら、昼過ぎの空いた電車から外を眺めていた。毎日通っていたはずの路線なのに、窓から見える景色は初めて見る光景のようだ。静かで、まるで現実感がなかった。

 帰宅した後のことは不思議と覚えていない。妻と何か話したかもしれないが、特別なことは何もなかったと思う。もしかすると、あえて何でもないように振る舞っていたのかもしれない。いつものように夕食を食べ、そして眠ったのだろう。

phot 退路を断った後は、毎日見ていた景色の中にも言い知れぬ不安が混じる

 かくしてライターとしての新生活が始まったわけだが、最初に直面したのは、「どこで仕事をしよう?」という問題だった。私が独立した時期は、ちょうど夏休みの時期で、小学生の息子2人が友達をよく自宅に連れてきていたため、仕事をする環境ではなかったのだ。子どもたちは、なぜかいつも家にいる私を不思議がっていた。

 そこで仕事に集中したいときに頼ったのが近所のカフェだ。幸い、徒歩で行ける範囲にいくつものカフェがあり選択肢は豊富だ。ところが……。カフェで仕事をしてみて分かったのだが、短時間のおしゃべりや読書には快適でも、3時間以上も座っていると、いろいろと不都合なことが出てくる。椅子もオフィスチェアのように高さ調整ができないので身体が痛くなるし、空調は効きすぎていて、最初は“天国”と思える涼しさでもやがて骨身にしみる寒さとなる。当たり前のように自分のデスクや椅子があった公務員時代が懐かしくなった。

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