こうした状況の下、企業の障がい者雇用の職場として最近注目されているのが、飲食サービスの「カフェ」だ。障がい者に接客サービスの仕事をやらせるのは難しいと思われがちだ。だが、接客サービスを経験することによって、本人が気付かなかった能力の発見にもつながるようだ。
KDDIは、障がい者が働く社員用のカフェを16年に開いた。その後、大阪、新宿などにも拡大し、現在約15人の障がい者が働いている。本社のある飯田橋のガーデンエアタワーの29階に設けられた社員用カフェは、お昼時は満席になるほどにぎわう。障がい者を雇用する特例子会社「KDDIチャレンジド」の池内公和・事業1部長はこう語る。
「オープンした時はうまく接客ができるかが心配だったものの、いまでは楽しそうに働いてくれている。店でどの仕事をしてもらうかは、障がい者の適性を見ながら決める。接客が好きな人は客と接する仕事をしてもらい、少し苦手な人には、客と直接は接しない業務についてもらう。メニューも、障がい者のアイデアを採用するなどして次第に増えてきている。釣銭の支払いなど、客とのやりとりの負担を軽減するため、支払いは電子マネーに限定するなど、できるだけ障がい者のストレスにならないように配慮している」
筆者もこのカフェを見学したが、働いている障がい者の雰囲気は和気あいあいとしていて、店員それぞれが自分の仕事を淡々とこなしていた。最近はKDDIのカフェの評判を聞きつけて、視察に来る企業も多いという。これ以外にも、電通が職場環境を見直す中で、障がい者が働く社内カフェの開設を検討している。
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