ただ、1人の人間と正面から向き合うことほど難しく、怖く、面倒くさいことはない。その面倒くささから逃げた人たちが、「コミュニケーションが足りない? だったら、飲み会でもやるか!」と、安易に飲みニケーションに走っているのです。
もちろん、飲みに行くのは悪いことじゃないし、会社やチームの節目のセレモニーとして、飲み会をすることには大賛成です。
中京テレビの例で言えば、「打ち上げや歓送迎会など職場の飲み会は原則1次会だけ」。これでジ・エンド。その後は解散がベスト。そこに社長が「わが社の働き方改革」として、くさびを打ち込んだのです。
あっぱれです!
欧米にもこういった飲み会はありますが、全て勤務時間内です。午後3時スタートで6時にエンド。予定のある人からさっさと帰るので、ボスが1人残されるなんてことも起きるそうです。
日本のサラリーマンのお酒の飲み方は「マラソンドリンキング」(ダラダラ飲み)と米国人に揶揄(やゆ)されることもあります。日本では当たり前のことが、外国の方のまなざしを通せば「異常」に見える。こんな「異常」をやめる勇気も「働き方改革」だと思うのです。
……おっと、大切なことを忘れるところでした。先の改革では、「勤務日を5日連続の休暇にする『リフレッシュ休暇』を取った社員に奨励金を出す」と断言しています。じっくり休んでリラックスすれば、仕事のモチベーションもチャージされるはず。今後の中京テレビがどんないい番組を作るのか? こちらも興味津々です!
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)
【注:会社や上司に不満のない人には、全く役に立たない本です】
600万の黒字より、5億の赤字の方が評価されるんです――。瀕死の部署を再生させた後、左遷されたモリさん(仮)は、苦笑しながらこう語った。
上層部の意図に沿わない成功は全く評価されず、上層部の方針に従って出した大赤字は「ナイスチャレンジ」と見なされる。会社という組織では、そんな「残念」なことが毎日起きている。
どこの組織にでも起こる問題について、幾多もの理論や学術論文、600人以上のインタビューから、改善の具体策を導き出す。「あいさつ運動」や「17時退社を当たり前にした仕組み」によって、業績まで伸びた事例も紹介する。
「この会社、意味不明」と嘆くビジネスパーソンに向けて。希望のヒントが見つかる1冊!
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