一般的に企業が実施する、ミドル・シニアを対象にしたキャリア支援といえば、定年を控えた50代中盤を対象とした「退職後の人生設計を考えるマネープラン研修」などを想起される方が多いのではないでしょうか。
しかし、調査の結果から明らかになったことは、ミドル・シニアの入り口にあたる40代前半からキャリア支援を行うことの重要性です。仕事やキャリアに対する考え方・価値観に大きな変化が生じる40代前半の時期に、自らのキャリアについて深く見つめ直し、今後のキャリアの変化に備える意識を持つ機会を企業として提供することは、個人のキャリア形成にとってプラスなだけでなく、躍進行動を促し、仕事のパフォーマンスが高まるという意味で経営の観点からも重要な意義を持つ試みです。
ミドル・シニアの入り口である40代に対するキャリア支援の内容としては、キャリアの棚卸しや強みの発見など従来から各企業で行われている通り一遍のキャリア研修だけでは不十分で、仕事の社会的な意義や仕事に対する自分にとってのやりがいを見つめ直す機会が必要となるでしょう。
さらに、これからのキャリアにも目を向け、役職定年制度に伴う降格・減給など近い将来直面する可能性のある『不都合さも内包した現実』を直視し、自分にとって望ましい働き方とは何かを考えるきっかけを提供することも企業が取り組むべき重要な試みといえるのではないでしょうか。
調査方法 調査会社モニターを用いたインターネット調査
調査協力者 要件:以下の要件を満たすビジネスパーソン2300人
(1)従業員3000人以上の企業に勤める40〜69歳の男女
(2)正社員(60代は定年後再雇用含む)
調査日程 2017年5月12日〜14日
調査実施主体 株式会社 パーソル総合研究所 | 法政大学 石山研究室
田中聡(たなか さとし)
パーソル総合研究所 フェロー
2006年、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。事業部門を経て、2010年にHITO総合研究所(現パーソル総合研究所)の設立に参画。シンクタンク本部主任研究員を経て、2018年より現職。専門は、経営学習論・人的資源開発論。立教大学経営学部 助教。一般社団法人経営学習研究所 理事。
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