なぜ「お化け屋敷」で人は“ビビる”のか 仕掛人に聞いた水曜インタビュー劇場(ぎゃあああ公演)(3/7 ページ)

» 2018年09月26日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

人が「怖い」と感じるツボ

土肥: 話を聞いているだけで、手に汗を握るような感じになりますが、人が「怖い」と感じるツボってあるのでしょうか?

頓花: 「ホラー=どんな人も怖がる」といったイメージを持たれているかもしれませんが、実は人によって違うんですよね。例えば、お笑い芸人さんを見てください。ものまねを得意とする人もいれば、リズムネタを披露する人もいれば、キレネタをウリにしている人もいる。それを見ているお客さんも「ワタシはものまね芸人が好き」「自分はキレネタが好き」といった感じで、ウケるポイントが違う。ただ、いろんなタイプの芸人さんが登壇することで、全体の満足度を上げているのではないでしょうか。

 ホラーの世界も同じで、人によって恐怖を感じるポイントが違う。「わーっ!」と大声を出してしまうようなものが好きな人もいれば、精神的にジワジワと追い詰められるものが好きな人もいる。「わーっ!」と大声を出す人が多いからと言って、最初から最後まで大声を出してしまうようなコンテンツだと、どうしても単調になってしまう。途中で飽きてしまうんですよね。精神的にジワジワと追い詰められるものが好きな人が多いからと言って、最後まで何も襲って来なければ、お客さんは欲求不満を感じてしまう。

 このようにターゲットや状況などによって違うのですが、日本人の傾向としてウケるポイントがある。冒頭の部分で、精神的に追い込んで、お客さんの欲求不満をためておく。そして、発散させるポイントをつくる。また、精神的に追い込んで、発散させるポイントをつくる。ケーキのミルフィーユは生地が何層にも重なっていますが、恐怖を感じるコンテンツも「精神的に追い込んで、発散させる」ことを繰り返さなければいけません。

 もう少し具体的な話をすると、お化けが出てくるぞと思わせておいて、出てこない。出てこないと思わせておいて、出てくる。いい意味で予想を裏切ることも大切。山と谷をしっかりと設計すると、全体の満足度が上がる傾向がありますね。

撮影現場、頓花社長(左)

土肥: 「ターゲットや状況などによって違う」という話が出てきましたが、ホラー映画を見ると、日本でつくったものと米国でつくったものはテイストが違う傾向がありますよね。日本の場合、呪いなどが関係していて、じわじわ追い詰めていく。

 一方、米国の場合、チェーンソーなどを振り回して次々に人を殺していく。もちろん、すべてのホラー映画がこのようなストーリーになっているわけではないですが、日本と米国では基本的な何かが違う。このように考えると、国によって恐怖を感じるポイントが違うのではないでしょうか?

頓花: 大きく違います。なぜ人は恐怖を感じるのか。恐怖の根源は、その人の原体験が影響しているんですよね。

土肥: 原体験? どういう意味でしょうか?

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