なぜ「お化け屋敷」で人は“ビビる”のか 仕掛人に聞いた水曜インタビュー劇場(ぎゃあああ公演)(4/7 ページ)

» 2018年09月26日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

ホラーの見せ方、日本と米国で違い

頓花: 仮面を付けて、チェーンソーを振り回している人をどのように感じますか? 多くの日本人はそうした人物に恐怖を感じた経験がありません。

土肥: 見た目や行動は「怖そうだなあ」「ヤバそうだなあ」と感じるのですが、アイスホッケーのゴールキーパーが付けていそうな仮面を見ることはほとんどありませんし、チェーンソーに触れる機会もほとんどありません。そもそもアイスホッケーのゴールキーパーも仮面ではなくて、アメリカンフットボールの選手がかぶっていそうなヘルメットを着用しています。

頓花: 「ピエロ症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? メイクをしたピエロを見ると恐怖を感じる心理を意味していますが、日本人の場合はどうでしょうか。身近な存在でないこともあって、ピエロに恐怖を感じる人は少ない。恐怖のど真ん中にピエロは存在していないんですよね。じゃあ、日本人はどのようなものに恐怖を感じるのか。どのような原体験があるのか。古い日本家屋のなかにある畳、ふすま、たんす、日本人形、こけしなどに恐怖を感じる傾向があるんですよね。

 とはいっても、すべての日本人が畳に恐怖を感じるわけではありません。若い人たちに昭和の日本家屋を見せても、あまり響かないことがある。じゃあ、若い人たちはどのようなものに恐怖を感じるのかというと、古い団地などに興味を示す傾向があるんですよね。

土肥: 日本家屋に住んだことがない、入ったこともない世代にとっては、身近でない。知らない存在なので、そこに恐怖を感じることができないわけですね。

頓花: 例えば、ゾンビ。米国の場合、キリスト教がベースになるので、自分がゾンビになるということは復活の日に呼んでもらえないことを意味する。そうなると天国に行けなくなる、復活できなくなる、救ってもらえなくなる、といった恐怖を感じる。

 日本人の場合、宗教的な側面でゾンビを受け止める人は少ない。あと、日本のお化けは武器を手にして、殴りかかって来ることも少ない。一方、米国のお化けは武器を手にして、襲ってくる。こうした行動を怖いと感じるかどうか。文化的な側面、宗教的な側面によって、恐怖を感じるポイントって大きく違ってくるんですよね。

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