マーケティング・シンカ論

岡山のスーパーが、膨大なデータを分析するワケ水曜インタビュー劇場(情報公演)(4/6 ページ)

» 2018年11月07日 08時07分 公開
[土肥義則ITmedia]

BIツール導入の背景

土肥: なぜツールを導入することになったのでしょうか?

松田: 日本の人口が減少している中で、地方はその影響を強く受けていますよね。そうした状況の中で、スーパーが大切にしなければいけないことは何か。「生産性」を高めなければいけないし、「付加価値」も高めなければいけない。では、生産性を高めるためにどうすればいいのか。過去のデータを分析するのに時間ばかりかけていてはダメ。分析ばかりに時間をかけていても、未来の戦略を組み立てることはできませんよね。

 もう1つの付加価値はどのようにしたら高めることができるのか。当社の場合、カード会員が「いつどこで、どのような商品を購入したのか」といったデータがあるので、そうした情報を活用してお客さんに魅力のある商品を提供していかなければいけません。ただスーパーの場合、アイテム数が多いので、そこに手間暇をかけていると、付加価値の高い商品を提供することが難しくなる。こうした2つの課題を解決するために、ツールを導入しました。

土肥: ツールを導入する前、本部はどのようにして戦略を練っていたのでしょうか?

松田: えーと、いま何時ですか? (時計を見て)午後3時を少し過ぎていますよね。こうした時間、店舗では何をしているのか。スーパーの場合、1日の折り返しの時間になるので、店長や部門の担当者は「刺身は○○パック売れているので、このくらい必要かな」といったやりとりをしていました。

土肥: 刺身は発注できても、ほかにもさまざまな商品がある。○○牛乳が30本売れたので10本発注して、といった作業は時間がかかりそうですね。しかも、そうしたデータを本部は管理しなければいけない。

松田: 全体の数字を把握するのに、ものすごく時間がかかっていました。前日のデータを集計して、それを見て、翌日以降に対策を打つといった流れ。対前月比、対前年比などを考えると、どうしても後手後手に回っていたんですよね。

土肥: となると、これからの店長はデータを分析する能力だけでなく、判断するチカラも必要になりますね。

中山: なります。これまでよく分からなかったことがリアルタイムに見えるので、データに対する判断能力は欠かせません。

松田: 全店長の2割はデータをよく活用していますが、残りの2割はちょっと……といった状況ですね。でも、それではダメ。どのようにすればレベルを上げることができるのか、その課題を解決していかなければいけません。

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