マーケティング・シンカ論

岡山のスーパーが、膨大なデータを分析するワケ水曜インタビュー劇場(情報公演)(5/6 ページ)

» 2018年11月07日 08時07分 公開
[土肥義則ITmedia]

突破口を見つけなければいけない

マルイの松田欣也社長

土肥: 標準店で1万2000アイテム、大型店で2万5000アイテムほど扱っているんですよね。膨大なデータを分析して、判断するってちょっと大変なのでは?

松田: 大変です。でも、ちょっと聞いてください。店長は店の情報を見て、分析して、判断するわけですが、ワタシは全店のデータを見なければいけません(苦笑)。大型店では2万5000アイテムほど扱っているので、その数だけ分析すればいいのでしょと思われたかもれませんが、ちょっと違う。

 例えば、魚。日本海と瀬戸内海では海水濃度が違うので、魚の味が違ってくる。そうすると、そこで暮らす人の嗜好も違ってくるんですよね。その流れで「醤油」がある。醤油の棚を見ると、鳥取エリアと岡山エリアの店では置いているモノが違う。濃い口はどのくらい売れているのか、薄口はどの年代で売れているのかといった細かいデータも見ていかなければいけません。

 いまは何でも見れます、何でも活用できます、何でもできますといった環境になりましたが、あれもこれもそれもと考えていたらいい結果を出すのは難しい。繰り返しになりますが、膨大なデータを分析して、それをどう活用するのか。その突破口を見つけなければいけません。

土肥: いまはまだ手探り状態のようですが、1年後、2年後はどのような姿になっていたいと思いますか?

松田: データを分析していくことで、利益率を高めていかなければいけません。100個発注して、30個残っている商品があるとすれば、発注精度を高めていかなければいけません。過去のデータを分析して、「ああしていればよかった」「こうしていればよかった」ばかりではいけない。そんなことばかり繰り返しているようだったら、担当者は……。

――取材時、システム構築やデータ分析などを担当する人がいた。

担当者: ……(汗)。

土肥: 担当者がどんな仕事をされているのか。数年後に、取材させてください(意地悪)。データを分析しているのは、ひょっとしたらAI(人工知能)かもしれませんね。本日はありがとうございました。

(終わり)

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