公務員を辞めてフリーライターになってから1年が過ぎようとしていた2018年6月。私は会社を設立すべく動いていた。
前回の記事(こちらから参照)に書いた通り、3年間にわたる迷いの日々の後、家族との「修羅場」も踏みながら、意を決して東京国税局を辞め、私は晴れて17年7月にライターとして独立した。だが、その後は幸運なことに、意外にも前職の収入水準へと近づきつつあったのだ。専業主婦の妻と、息子が3人いたため、独立当初は不安を抱えていたが、頑張った成果が出たことに自信をつけ始めていたところだった。ところが――。ここで1つの問題にぶつかる。
それが、「国民健康保険」だった。
問題を認識したきっかけは、私が住んでいる埼玉県八潮市の市役所から送られてきた1枚のチラシだった。ざっと目を通すと、どうやら国民健康保険の改正を知らせる内容のようだ。記載されている表を上から見ながら、「保険料が下がるんだ、ラッキー」と思いかけたのだが、表の下部に視線を移すと、モデルケースによっては約15%も保険料が増えている……。いったい何が起きているのだろうか。
チラシの内容を改めて分析した私は、以下の通り改正のポイントを認識した。
1.世帯人数の少ない人(主に高齢者)の保険料は下がる
2.世帯人数の多い人(主に現役世帯)の保険料は上がる
世帯構成によって、なぜこれほどまでに差が開いてしまうのだろうか? ここで、簡単に健康保険の仕組みを説明したい。会社員や公務員の場合、健康保険にかかる保険料は、収入額をベースに一定の掛率を乗じて決定される。収入が多ければ保険料が上がるというシンプルな仕組みであるのは周知の通りだ。
一方で、私のようなフリーランスの多くが加入する「国民健康保険」は、前年の所得に加え、「世帯人数」も保険料のベースとなる。たとえ扶養に入れたとしても、家族が増えれば問答無用で保険料は増えていく。
つまり、今回のような改正があると、世帯構成に応じて有利不利が分かれるというわけだ。わが家は、妻と、子ども3人と、私の計5人家族である。「このままだとどうなるのだろう?」。そんな疑念が浮かび、厚生労働省のWebサイトを調べてみた。ここで気になったのが、国民健康保険加入者の年齢構成だ。
予想通り、65歳以上の大半が国民健康保険に加入していた。私は現在37歳だが、いわゆる現役世帯で国民健康保険に加入している人は圧倒的に少ない。これは単なる推測にしかすぎないものの、数の力で考えてみても、国民健康保険が私のような現役世帯に“優しく”なることは今後もないだろうと、思った。
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