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» 2018年11月29日 08時30分 公開

美名のもとに遂行される「政府シナリオ」:公務員65歳定年制の導入は「若者の賃金搾取」と「解雇規制緩和」の序章だ (2/5)

[溝上憲文,ITmedia]

いよいよ始まる公務員の「定年引き上げ」

 ところが2017年に入り、政府は公務員の定年引き上げの方向で動き出す。6月29日に閣議決定した骨太の方針(「経済財政運営と改革の基本方針2017」)で「公務員の定年の引き上げについて、具体的な検討を進める」ことを決めた。これを受けて関係行政機関による「公務員の定年の引上げに関する検討会」が発足。今年2月16日に「論点整理」が出され、それを受けて内閣総理大臣から人事院総裁に定年引き上げの検討要請が行われ、8月10日の意見の申出に至っている。

 なぜ政府は従来の再任用から定年延長へと方針を転換したのか。人事院や公務員の労働組合はこれまで定年延長を主張してきた。例えば17年2月16日に行われた「内閣人事局と日本国家公務員労働組合連合会とのやりとり(概要)」では、労組はこんな要望をしている。

 「人事院から定年延長に関する意見の申し出を2011年に受けながら、いまだに『義務的再任用の継続』でごまかし続けてきているのは、あまりにも無責任である。来年度の定年退職者は年金支給開始年齢が63歳となるため、少なくとも今年度内に、対応方針を決めなければ予算要求に対応できない。現在の具体的な検討内容を明らかにすると同時に、早期に定年延長に向けた協議をスタートさせることを求める」

 この時点では政府は明確な回答を示していない。実は政府の方針を変えるきっかけとなったのが、17年5月10日に出された「自由民主党一億総活躍推進本部」の「一億総活躍社会の構築に向けた提言」だ。同本部は労働、医療、社会保障に詳しい国会議員で構成し、安倍政権が掲げる一億総活躍社会を後押しすべく女性や高齢者の就業促進の政策を提言している。その中で特に推進すべき取り組みの一つとして公務員の定年引き上げを掲げている。

 「公務員の定年(60歳)につき、2025年度に65歳となる年金支給開始年齢引上げにあわせて定年引上げを推進すべきである。また、民間企業における65歳完全現役を推進するため、新たな活躍の場の発掘や出向支援・学び直し等(人生二毛作の発想)を支援すべきである」(提言)

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