やはり元貴乃花親方は、“同じ穴のムジナ”だったのか赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年12月21日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

責任を負わされたくない

 花田光司氏は、元貴ノ岩の育ての親である。日本相撲協会を退職するまでは、この元貴ノ岩の師匠として元日馬富士の暴行事件を隠ぺいしようとしたとして協会幹部たちに反旗を翻し、その流れに乗じて改革を推し進めようとした。旧態依然としたぬるま湯の中で、上層部だけが既得権益の甘い汁を吸う。ただ弟子を守るだけでなく、そんな腐り切った協会の体質にも風穴を開けようとする姿勢に心を打たれ、共感を覚えた人は多かった。

 だが、今となってはそのヒーローにも数多くの「?」が漂う。愛弟子の元貴ノ岩が不祥事を引き起こしたのは自らの退職後だったとはいえ、知らぬ存ぜぬでは筋が通らない。ましてや被害者となった暴力事件で、全面擁護しながら再起をうながしていたのは退職する直前までであり、つい最近の話だ。

 普通に考えて「私の指導力不足でもあった。大変申し訳ない」と一言ぐらい口にするのが、最低限の常識だと感じる。しかし、知らんぷりである。こうなると八角理事長ら現幹部たちにケンカを売り、協会に対して「常識」と「節度」を暗に求めていた姿が蜃気楼だったようにも思えてきてしまう。

 しかも経緯の説明及び謝罪の意思を伝えようとした元貴ノ岩からの電話を完全無視。メディアを通じて「10年はどんな状況でも会わない」と突き放した。この行動を元貴乃花親方らしく厳しい姿勢と賞賛する声は少ない。

 電話に出て直接本人の釈明を聞いた上で叱り飛ばし、絶縁通告するならば筋が通る。それが不祥事を起こしてしまったかつての弟子に対する元師匠としての定めだろう。現在の自分はオマエと何の関係もないのだから、もう近寄らないでくれ――。責任を負わされたくないので、こうした対応をしているようにしか、残念ながら見えないのだ。

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